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『おんな城主 直虎』、もはや消化試合?効果のない指導を繰り返す直虎の存在意義とは

文=吉川織部/ドラマウォッチャー
naotora550.jpg『おんな城主 直虎』公式サイトより

 柴咲コウが主演するNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の第41回が15日に放送され、視聴率が11.8%だったことがわかった(ビデオリサーチ調べ、関東地区平均)。今回は家康の草履番として仕える万千代(菅田将暉)に部下が与えられた。その者を一人前にしたら小姓に取り立てると言われて張り切る万千代だったが、やってきたのは冴えない中年の男。だが、その男こそかつて一向一揆に加勢して家康に歯向かい、許されて徳川家に戻ってきた本多正信(六角精児)だった。同じ頃、武田軍による遠江侵攻が始まっていた。家康(阿部サダヲ)は戦で使う大量の材木の手配を信長(市川海老蔵)から命じられるが、それを聞きつけた万千代はぜひ井伊に任せてほしいと願い出た――という展開が描かれた。

 本多正信は後に参謀として家康を支えることになる人物で、昨年の『真田丸』では近藤正臣が、家康をもしのぐ老獪な狸っぷりを披露していたことも記憶に新しい。かなりのフィクションであるとはいえ、あの煮ても焼いても食えない狸が草履番から頭角を現していったのかと思うと、行く末を知っているだけになかなか楽しいものがある。だがその一方で、妙に本多正信を掘り下げるなあという違和感もぬぐえない。元は鷹匠だったことと、一向一揆に加担して家康に反逆したこと自体は史実として残されているが、本作では家康に許されてから鷹匠として仕えたことになっている。そのくらいのアレンジはいいと思うが、正信の過去は万千代との関わりの中で特に意味のあるエピソードとは思えない。

 過去の回では、家康に仕える前の万千代が偶然正信に出会っていたり、万千代に井伊を名乗らせるかどうかについて正信が家康に助言したりする様子が描かれていたが、振り返ってみると必然性の薄い、意味が感じられないシーンだったのではないか。それより、今回初めて万千代の部下としてドラマに登場し、実はただならぬ人物だった――という展開のほうがスッキリしたように思える。

 さて、万千代の出世ストーリーになった第39回以降は、井伊家再興と自身の出世のために暴走気味に張り切る万千代と、それを止めようとする直虎(柴咲)という構図が続いている。万千代が家康に仕えることになるいきさつに直虎は直接的に関わっておらず、長く離れて暮らしていたために「万千代は直虎が育て上げた」と言えるほどのエピソードもない。

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