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残業ばかりの職場はなぜなくならない? 地図化で分かる本当の問題

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 「働き方改革」という言葉が登場してから、残業に対して厳しい目を向けられるようになりました。
しかし、その一方でこんなことが起きているようです。

「来月から残業したらダメだからね」
「わかりました。でも、残業がなくなった分、売り上げは落ちるかもしれませんよ?」
「それはいけない。売り上げを落とさずに残業をしない方法を考えてくれ」
「えっ、残業している今でも業務で手一杯なのに…」

 この結果、タイムカード上では残業していないけれども、家に持ち帰って仕事をすることになったり、終わらない仕事が日に日に積まれていき、大きなトラブルになったり……。せっかくの「働き方改革」なのに組織全体が不幸になってしまうということも。

 そんな職場の問題を一つ一つ丹念に掬い上げて「地図」に落とし、その解決策を処方するのが『職場の問題地図 「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方』(技術評論社刊)です。

 著者である沢渡あまねさんは、業務改善・オフィスコミュニケーション改善士として、様々な企業の業務改善を進めてきた人。本書では現場の目線に立ちつつ、客観的に問題を読者に対して提示しています。

■業務の無駄は、「研修」では排除できない。

 本書を読んでいくと、職場内の「コミュニケーション」を改善することで、多くの問題は改善するということに気付くはずです。 しかし、コミュニケーションがボトルネックになっていることに気付いていても、改善策がトンチンカンな方向に走っていることが多いのもまた事実。

 例えば、「コミュニケーションなら、プレゼンテーション能力や管理職向けの研修を受けさせておけばいい」と考えている人はいないでしょうか。効果がないとは言いませんが、研修を受けさせたからといって劇的にコミュニケーションが良くなるというわけでもないでしょう。

 実際の問題は、こんな「あるある」に詰まっています。

「(資料を見て)ちょっとイメージと違っているから、もう一度こういう風にして作ってくれない?」

 これは部下からあがってきた資料を見た上司が言う一言。つまり、「手戻り」です。一度作ったのにまたやり直し。時間がもったいないですよね。こういうことが積み重なって、残業だらけの職場が生まれているのです。

 では、この「あるある」をどうクリアすればいいのか?

 その答えは、「資料が完成する前のコミュニケーションを設計する」というもの。 そのために、まずは成果物のイメージをすり合わせること。そして、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)のタイミングを設計・合意すること。この2つが大事です。

 完成形のイメージが共有していれば「イメージと違う」ということにはなりにくいでしょう。また、イメージを共有すると同時に「どのタイミングで何を報連相するかをあらかじめ決めておけば、「完成したがハネられ、最初に逆戻り」とはなりません。前に報連相をとったタイミングまで戻ればいいのです。

■仕事を成り立たせる5つの要素に注目

 沢渡さんは、仕事は以下の5つの要素で成り立っていると指摘します。

1.目的…その仕事は何のために行うのか?
2.インプット…成果物を生むためにはどんなインプットが必要なのか?
3.成果物…生み出すべき完成物は? 期限は? 提出先は?
4.関係者…巻き込むべき関係者、協力者は? 成果物は誰のため?
5.効率…その仕事のスピードは? 生産量は? 人員は? コストは?

 この5つのいずれかに問題があると、仕事はたちまちうまく回らなくなります。そして、その問題は職場の中にあると考えなければ、根本的な解決には向かいません。

 「地図」とは、全体を俯瞰してみるための道具。どこにどのような問題があり、それがどこに影響をしているのか。直近で問題になっているポイントだけを改善しても、また同じことが繰り返される可能性があります。だからこそ、全体を俯瞰した上で描いた職場の地図を、組織全員で共有することが大切で、そこから新たな気づきや改善点があがってくるはずなのです。

 残業をしない働き方は理想。その理想を着実に現実化するために必要な方法を教えてくれる一冊。図やイラストが豊富なので、肩に力を抜いて読めるはずです。

 また、本書のシリーズ作として『仕事の問題地図 「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方』(技術評論社)や、「職場あるある」をかるた化し、組織全体で問題を共有し、解決策を導き出せる『職場の問題かるた “言える化”してモヤモヤ解決!』(技術評論社刊)も出版されているので、こちらも参考にしてみてください。
(金井元貴/新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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