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中沢光昭「路地裏の経営雑学」

住宅ローン審査基準が、一斉に「厳しく」なり始めた?経営者が活かすべき不動産市場の変調

文=中沢光昭/経営コンサルタント

 ところがこの数年で、「世間はアベノミクスで好景気らしく、収入にも満足しているが、我が身を冷静に考えると少し不安」と考える人が増え、そうした人たちが「どうやら不動産投資は『アリ』のようだ」と感じて、少し遅れて市場に参画してきたのではないかというのが、著者の推測です。もちろん相続税の制度変更などの影響もありますが、そうした参画者の増加が直近のアパートローン残高や不動産サイトの会員数の増加に表れているのではないかと感じます。

 ところが、融資姿勢のハードルが上がり始めたことで、ちょうどそうした後発の参画者が再び静観に入り、アクティブな買い手がかなり減ったのではないでしょうか。

 ただし、流通する物件も減ったという声も聞こえます。需要と供給のバランスを考えると、需要が下がれば価格は下がっていくはずですが、すでに物件を持っている潜在的な売り手の多くは、特に売り急ぐ理由もないので(売却価格が不満であれば、保有し続ければ月々の家賃が入ってくる)、無理に売らないようになってきています。そうすると価格は落ちないため、なかなか市況が細っているかどうかは表面化しにくいのでしょう。

最初にダメージが起こるところに、優秀な人材が控えている

 そうした市況において、最初に変調の影響を受けるのは、投資用不動産の売買を扱うことをメインにする中小規模の不動産仲介会社です。フロービジネスの最たるもので、流通量が直接影響します。

 宅地建物取引業者は06年から8年連続で減っていましたが、14年からは3年連続で増えています。従事者の数も12年からは5年連続で増加しています。そうして増え続けてきた同業界の営業担当者が人材市場に徐々に出てくるのではないでしょうか。

 筆者の経験上、投資用不動産の営業担当者の質の差は大きく、一部の評価の低い人材の印象により、中途採用市場においては投資用不動産の営業担当者はコンプライアンスやカルチャーを重視する企業から敬遠されてしまいがちであると、人材エージェントの方から聞いたことがあります。そのため、偏見を持たない企業にとっては、優秀で行動力もある営業担当を採用するチャンスとなります。実際に筆者が経営者をしていた会社では、営業職で採用したことがあり、とても活躍してくださいました。

 労働人口が減っていくなかでは、不動産市場が少し変調しようとも、企業や経営者は営業人材獲得の観点から注目しておくべきだと思います。
(文=中沢光昭/経営コンサルタント)

●中沢光昭(なかざわ・みつあき)
企業再生をメインとした経営コンサルタント。破綻会社や業績低迷企業の再建・変革実績を多数持つ。また、高齢化に伴う第三者への事業承継の受け手として事業会社も複数所有。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)、『経営計画はなぜうまくいかないのか?』(Kindle)、『会社員が一生モノの“実のある仕事”を創る方法(ベータ版): 事業承継問題を抱える会社を個人で引き継ぐ』(Kindle)などがある。企業変革の進め方やコスト効率の改善、再生企業の経営全般、また、後継者候補や株式売却先候補にお悩みの中小企業の経営者・オーナー様からのご相談など、お気軽にご相談ください。

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