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高橋暁子「ITなんかに負けない」

過激化する10代のインスタ映え競争…SNSでの承認は、あなたの人生を豊かにしない

文=高橋暁子/ITジャーナリスト
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 肖像権侵害の芸能人写真を投稿したり、パクツイ(パクリツイート。他人のツイートを自分のものとして投稿すること)をしたりすることも、それによってリツイートが増えたり、フォロワーが増えるのを期待してのことだ。このように、若者のSNSにおける問題行動の原因は承認欲求にあることが多い。

 最近はインスタ映え、つまりInstagramでウケるために現実を偽った写真を投稿するケースも多い。たとえば自分ひとりなのにデートを装うために2人分の飲み物を注文して写真を撮ったり、他人から借りたブランド物を自分のモノのように装って写真を撮ったりなど、現実を偽ってより良いように「盛る」のが当たり前となってきているのだ。

承認欲求が駆り立てる若者の過激な行動

 SNSでは、時間や手間をかけたらかけた分だけ反応が得られる。それゆえ、若者たちはSNSで次第に過激な行動をエスカレートさせてしまう。

 たとえば、10代の女子中高生や女子大学生ならばことは簡単だ。「JC(女子中学生)」「JK(女子高生)」「JD(女子大学生)」と年齢を前面に出したり、制服などのアイコンを散らつかせればいい。10代女子がSNSに投稿する写真や動画で顔を出していたり、制服姿の写真が多いのはそのためだ。行動が過激化すると、フォロワーや視聴者などにそそのかされて肌の露出を増やしてしまう子も出てくる。

 10代女子は若い女性というだけで注目されるが、男子はそうはいかない。そこで、過激な行動で目立とうとし始める。たとえば、Twitterなどにおける犯行予告だ。「○月○日に○駅を爆破します」「小学校で子どもを襲います」といったものを安易に投稿してしまう。書類送検などをされた容疑者の少年たちには、「フォロワーを増やしたかった」「有名になりたかった」と答えている割合が少なくない。

 また、不正アクセス禁止法違反をするのも男子のほうが目立つ。不正アクセスしてサイトを改竄・攻撃などをしたり、ウイルスなどを配布する理由は、やはり「自分の威力を示したかった」という理由が多いのだ。

リアルな人生で承認を求めよう

 SNS内で承認欲求を一時満たしたとしても、すぐにもっと欲しくなるだろう。上には上がいるし、満足し続けることは難しい。現実を偽って「いいね」をもらっても、承認されたのは自分自身ではない。

 SNS内でその場限りの承認をもらっても、人生が豊かになることはない。目的を持ってツールとして使いこなすならいいが、そうでないならSNSは何ももたらすことはないだろう。

 現実世界では、努力が必ずしも報われたり、承認欲求が満たされるとは限らない。しかし、現実世界でがんばる以外に真に満足する道はない。10代は将来を模索すべき大切なときだ。現実生活、学業や仕事、プライベートなどで努力して、願うような承認を得られるようがんばってほしい。
(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

高橋暁子/ITジャーナリスト・成蹊大学客員教授

書籍、雑誌、Webメディアなどの記 事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などが専門。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎) など著作多数。NHK『あさイチ』『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。令和 三年度教育出版中学国語教科書にコラム掲載中。


高橋暁子公式サイト

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