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吉野家で何杯でも値下げ&はなまるうどんも何杯でも天ぷら無料!共通クーポンがヤバい!

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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日高屋の「コバンザメ出店」との共通点

 少し話がそれるが、吉野家HDのはしご定期券は、ラーメン店「日高屋」の出店戦略と似ているところがある。そこで、はしご定期券の効果を確認するために、日高屋の出店戦略を見ていきたい。日高屋は、あえて吉野家やマクドナルドなどの大手チェーンの近くに出店する戦略を採用している。これには3つの理由がある。

 ひとつ目は「経費節減」のためだ。マクドナルドや吉野家などの大手チェーンは立地調査に多額の投資を行った上で出店を行っている。交通量や人の流れ、客層、競合状況などを綿密に調査し、“売れる立地”と判断した上で出店しているのだ。

 そのため、“大手が売れると判断した場所の近くも売れるはず”と考えることも可能だ。そのような考えで出店する場合、調査に経費をかけずに出店することが可能となる。

 2つ目は「集積効果」だ。同業者が一定の地域で密集すると、同業者に客を奪われるデメリットよりも、集積していることでその地域の知名度や存在感が高まり、そのことで他地域からも集客できるようになるメリットのほうが大きくなることがある。

 たとえば、「横浜中華街」や「秋葉原電気街」がそうだ。同業者が集積することで「中華料理店が集まっている街」「電気店が集まっている街」と人々に認識される。中華料理店や電気店を求める人にとっては、選択肢が多いそういった街は都合がいいといえる。

 そして3つ目は「補完効果」だ。これは、はしご定期券にも通じる話となる。いくらマクドナルドや吉野家のファンでも、毎日ハンバーガーや牛丼だけを食べていてはやがて飽きてしまう。たまには汁物のラーメンなどを食べたくなるものだ。

 日高屋は、マクドナルドや吉野家の常連客の受け皿になることを狙って、それらの近くに出店することがある。「コバンザメ出店」とも呼ばれ、大手チェーンのおこぼれを狙う戦略だ。かつてテレビCMで「ハンバーガー。牛丼。あしたは、日高屋」と宣伝していたことがあるが、マクドナルドや吉野家を利用する常連客を狙ったと考えられる。

 吉野家HDのはしご定期券も日高屋の出店戦略と同じだ。先に挙げた3つ目の「補完効果」を狙ったものとなる。日高屋は吉野家などを補完したが、はしご定期券は吉野家がはなまるうどんを、もしくは、はなまるうどんが吉野家を補完することができる。

 吉野家のファンでも、毎日牛丼では飽きてしまう。たまには汁物を食べたくなるのが人情だ。そういった客を日高屋は狙っているわけだが、吉野家としては日高屋などの競合に奪われないように、多少の費用がかかっても自社で取り込んでしまおうと考えたのではないか。いずれにしても、はしご定期券で吉野家とはなまるうどんで相互送客するのは合理的といえるだろう。

 吉野家HDは、ほかに「ステーキのどん」やイタリアンレストラン「ドン・イタリアーノ」、寿司店「京樽」などを傘下に収めている。今後は、こういった店舗と連携した販促を仕掛けることも考えられる。注目したいところだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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