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成馬零一「ドラマ探訪記」

『ひよっこ』スピンオフがテレ東で?『ユニバーサル広告社』が反則スレスレのおもしろさ

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 まだ始まったばかりのため、「寂れた商店街を広告の力でどうやって再生していくのか?」という物語の本筋を含め、次回以降を見なければわからない点も多い。しかし、第1話での各キャラクターの魅力を丁寧に見せていくくだりは実に見事で、今後を期待させるには十分だった。

『ひよっこ』よりも期待できる?


『ひよっこ』でもそうだったが、岡田の脚本の魅力はストーリーではなく、一見無意味に見えるようなグダグダの会話劇にある。そのため、登場人物の何気ない会話だけでも延々と見ていられるようなおもしろさがある。

 本作では、広告会社の4人のやりとりと寂れた純喫茶にいる藤沢家のやりとりがおもしろい。たとえば、ユニバーサル広告社の社員の間では(唯一の女性である猪熊エリカ<片瀬那奈>も含めて)「パワハラ・セクハラ発言をした社員は、全員にランチをおごらないといけない」というルールがある。

 こういったポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)を意識した現代的な会話は、『ひよっこ』にも表れていた。しかし、朝ドラという枠の生真面目さゆえか、政治的正しさを基調とする会話が『ひよっこ』ではやや押し付けがましく、後半になるほど息苦しく感じた。

 対して、本作で描かれるパワハラ・セクハラに対する気配りは自然なもので、日常生活の延長線上にある今の時代の常識として、違和感なく受け止めることができる。

 こういった視点は、和久井映見が演じる未婚の中年女性・藤沢さくらの描き方にも強く表れている。和久井は『ひよっこ』でもかわいらしい中年女性を演じていたが、彼女のような結婚していない中年女性を、揶揄して笑い飛ばすのでも過剰に美化して強い女性として描くのでもなく、年相応の大人の感覚を持ったかわいらしいヒロインとして自然に描けるのは、岡田の才能だろう。

『ひよっこ』の優等生的な正しさに息苦しさを感じていた岡田惠和ファンとしては、むしろこちらのほうが2017年の代表作になるのではないかと期待している。第2話以降が楽しみだ。
(文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家)

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