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三菱UFJ銀行、1万人削減へ…業務を人からシステムに置き換え、従来型モデルが限界

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授

ロボットが仕事を奪うという発想の盲点

 
 新しい技術やコンセプトが実用化されるにつれ、銀行ビジネスだけでなく経済全体で変化が進むだろう。具体的には、新しい組織やサービス、製品などが生み出される。それが人々の需要を集めれば、旧来の発想が通用するケースは減るだろう。

 これが、イノベーション(これまでにはない新しい取り組みを進めること)だ。パソコンの普及によってタイピスト(タイプの早打ち専門家)が職を失ったように、イノベーションは既存の産業から別の産業に資本や労働力のシフトを引き起こす。これは経済全体の新陳代謝が高まることといい換えられよう。

 それをわが国では「ロボットが仕事を奪う」と、どちらかといえば感情的かつ否定的に表現することが多いように思われる。そうした心境がわからないではない。なぜなら、誰しもこれまでの仕事や環境にこだわりや愛着を持っているからだ。

 ただ、悲観論に浸ることは避けるべきだ。想像力を膨らませて将来をイメージする、人を思いやるといったことは、人間でなければできないとの指摘も多い。人工知能は過去のデータを解析し、その延長線で将来を予想することには長けている。しかし、経済危機などの構造変化にどう対応できるかは、本当にそれが起きてみなければわからない。また、自分の仕事が機械に置き換えられてしまうというような負のイメージが強くなってしまうと、今後の変化とその可能性を冷静に評価することが難しくなるかもしれない。それは、チャンスの見落としにもつながる恐れがある。

 むしろ、変化の起爆剤となっている新しいコンセプトを学習し、今後の社会の潮流を考えることこそが重要だろう。そのために政府が重視する人材の開発支援プログラムなどが活用できるなら、活用すべきだ。わが国ではともすると、変化=安定を崩すマイナスのファクターとの見方が広がりやすいだけに、客観的な見方を持ち、その可能性を評価していくことが欠かせないだろう。
(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)

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