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読売新聞は100万部減…瀕死の新聞業界、なぜか部数減らない新聞の「意外な共通点」

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 まず、1面にはかならず山梨県内のニュースを入れる。県内のニュースが1面トップを飾ることも多い。天気予報は県内各地域を細かく分けて掲載している。それに続くページは、国政と県政の情報が交ざって掲載されることが多い。国際面はなく、外報の記事と国内の記事は一緒に掲載される。

 経済面も、県内経済の動向を中心に書かれている。文化面や家庭面は、通信社の配信記事を交ぜつつも、県内のことを中心に書いている。スポーツ面は、地元J1チーム・ヴァンフォーレ甲府(ちなみにこのチームの最大株主は山梨日日新聞のグループである)の記事を中心に、地元の高校生チームや社会人チームの活躍をていねいに掲載している。正月の箱根駅伝では、山梨学院大学の活躍を中心に紙面を組み立てる。地域のちょっとしたイベントの記事も地域面には掲載され、社会面も山梨県内のことを中心に取り上げる。

 こうしたコテコテの紙面が、山梨県民には支持されているのである。そして山梨県民の多くが熱心に読むのは、お誕生・結婚・お悔やみを記した欄であり、もっとも丹念に読まれるのは、お悔やみ欄である。

強い地方紙の基本「お悔やみ欄」

 山梨日日新聞のお悔やみ欄は細かい。現実のお悔やみ欄から引用して実例を示すのはプライバシーの観点から問題があるので、お悔やみ欄をもとにどんなことが書かれているか示してみよう。

「小林●●(こばやし・●●)さん ●●代表取締役。朝気1の●の● 14日。75歳。通夜は16日午後6時、告別式は17日正午、南口町の●●メモリアルホール。●●銀行勤務●●さんの父、喪主は長男で●●専務取締役の●●(●●)さん」

 他県の新聞でここまで細かいところはなかなか見られない。群馬県の上毛新聞は、人によってはここまで細かく書かない。栃木県の下野新聞もだ。信濃毎日新聞もである。さらにいえば、北海道新聞は北海道の人口が多いためか多くの人が掲載されるものの、「葬儀終了」と掲載される人も多い。もっと簡素なのは新潟日報で、地域と氏名、没年齢だけが記されている。

 これらのお悔やみ欄の情報は、無料で掲載される。新聞社に直接連絡しなければ載せてくれない新聞もあれば、役所が取り次いで新聞に掲載してもらえるようにしてくれるところもある。

 こういった無料のお悔やみ記事が、掲載されない地方紙もあるのだ。たとえば河北新報は、お悔やみ広告のかたちでしか一般人の訃報は掲載されない。意外かもしれないが、沖縄県の琉球新報や沖縄タイムスのお悔やみはすべて広告である。亡くなった人の一家が多く名前を連ねる沖縄独自のお悔やみは、すべて遺族が広告料を支払って掲載しているものである。人口から考えると、掲載していない人もいるだろう。そして、2紙のうち1紙しか掲載していないということもある。しかも、沖縄には新聞を読んでいない人も多い。沖縄の2つの新聞はどちらも20万部程度の部数があったが、現在は15万部程度まで減っている。

 新聞離れが進む現在でも、地域の情報が充実している地方紙が、各地で生き残っているという現実がある。とくにお悔やみ欄が充実している地方紙は、部数を落とさず、読まれ続けるという状況が、都市部の人が知らないところで起こっている。お悔やみ欄が詳しければ詳しいほど、地元の人たちから支持され、部数が減らないという傾向が見て取れるのだ。

 この先、全国紙は厳しいことが予測される。しかし、新聞業界やジャーナリズムの世界では評価されないような、地域に根ざした新聞は、生き残り続けるだろう。
(文=小林拓矢/フリーライター)

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