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木村隆志「現代放送のミカタ」

綾瀬はるか『奥様は、取り扱い注意』、金城一紀らしからぬ予定調和に酷評も…予想を上回る展開を用意か

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト

 このような勧善懲悪の脚本は、良くいえば「緩急自在」だが、悪くいえば「予定調和」。これこそが酷評の原因で間違いないだろう。金城の脚本は、『BORDER』(テレビ朝日系)シリーズ、『CRISIS』を見ればわかるように、とにかく予定調和を嫌い、視聴者の予想を裏切りながら、後味の悪い結末を連発してきた。それだけに、今作の単純な予定調和に納得がいかないファンは少なくない。

 西島が綾瀬の頭をポンポンしたり、着物の帯をクルクル巻き取ったり、バックハグからキスしたりなどのイチャイチャシーンも含め、「これまでの金城作品とは別物」といっていいだろう。もちろん、これは「綾瀬の天然キャラを生かしつつ、凛々しいアクションシーンとのギャップをつくろう」という狙いはあるのだが、金城の筆力を考えると疑問が残る。

ただの勧善懲悪では終わらない

 10月29日に放送されたスペシャルドラマ『BORDER 贖罪』(同)に絶賛の声が集まるなど、作品としての質が高かった。それだけに、「それに比べて、やっぱり『奥様は、取り扱い注意』は物足りない」という声が再燃しつつある。それは金城への期待感にほかならないのだが、今後アッと言わせるような展開はあるのだろうか。

 綾瀬にアクションシーンを仕掛けたのも、勧善懲悪の予定調和を選んだのも金城に違いない。しかし、「金城が、たったそれだけのドラマとして終わらせる」とは思えないのだ。インターネット上では、「勇輝、優里、京子も菜美と同じ工作員ではないか?」などの臆測が飛び交っているが、金城ならそんなイージーな予想をはるかに上回る展開を用意しているのでは……そう期待したくなってしまう。

 今秋は『明日の約束』『刑事ゆがみ』(ともにフジテレビ系)、『コウノドリ』(TBS系)、『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)、『陸王』など重い世界観の作品が多いだけに、サクッと見られる同作は有利な状況にある。そのため、視聴率は最後まで落ちないだろうが、どこまで酷評をはねのけられるのか、お手並み拝見といきたい。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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