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ケースで見る!「働くハイスペック女子」への処方箋

疲弊するハイスペック女子たち…高学歴・高収入・美人ゆえの「生きにくさ」

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 ソムリエ資格試験は、ブドウの品種や生産地から香り成分の化学式まで幅広い知識を問う筆記問題と、実技としてテイスティングからなるとのことで、どちらも結構な難関です。テスト慣れしている彼女のことですので、筆記問題は楽勝。テイスティングは、並べたグラスの中のワインの産地やブドウの品種を当てるというものなのですが、こちらは単に知識だけではどうにもならないことなので、ハイスペック女子の高い能力をもってしても一筋縄では行きません。

 テキストをみせてもらうと、ワインの色、香り、味などそれぞれを評価して総合的に判断し、たとえばフランスのボルドーのカベルネ、といった解答にたどりつく模様です。結構繊細な判断なので、体調が悪いときや、とりわけ仕事で忙しいときなどは、五感が鈍っていてあまり当たりません。そもそも何種類ものワインを当てるような練習はいったいどうやっているのか尋ねてみたら、ブラインドで少量のワインを5種類くらい出してくれるお店があるようです。

 そんな彼女が私のところにやって来たのは、ソムリエ試験の1カ月前ぐらいでした。試験に合格できるかどうか不安で夜眠れなくなってしまったとのこと。格段に仕事の量が増え、結果として試験対策のためにワインバーにも行く機会が減り、久しぶりに行ってみたら全敗。これで試験に落ちたらどうしようという不安が毎晩寝る前に襲ってきます。そもそも趣味なんだし、何も急ぐことはないのだから、また来年受けることにしたらどうですかとアドバイスしてみたのですが、一緒にスクールにいる弁護士のA子にだけは負けたくないのだそうです。

 最初はストレス発散のために通い始めたダンススクールで、ストイックにがんばりすぎる女子。また、昔の自分ならこのぐらいのタイムでこのぐらいの距離を走れたはずだと、そもそも達成困難なマラソンの目標を立ててしまって、できない自分を責める女子。

 これらはいずれも、よく相談を受けるパターンです。私は産業医として、ストレス管理のために趣味を持ちましょう、あるいは健康のために運動をしましょうとアドバイスすることがよくあります。しかし、まさかここまでやりすぎる人たちがいるとは、つい最近までは想像すらしていませんでした。これらがハイスペック女子に特有の性質なのかどうかはよくわかりません。ただ、何事にも人一倍の努力を重ね、競争のなかでいろいろなものを勝ちとってきた女子たちにとっては、たとえ趣味のフィールドであっても、他人や自分自身に負けるわけにはいかない場合もあるのでしょう。

 でも、仕事でも競争、プライベートでも競争ばかりではいつか疲れてしまいますし、いつもがんばりすぎることでかえって見えなくなってしまう人生の味わいみたいなものもあるのではないかと感じます。

 K.S.さんには、ワインの勉強とはしばらくちょっと距離をおくようにお話しをし、これからもときどき、勉強としてではなくて飲んでおいしかったワインについて教えてもらえるようにお願いをしました。

 さて、もうすぐボジョレー・ヌーヴォーの季節がやってきます。私はガメイ種独特の少しえぐみがある後味があまり好きではないのですが、透明感のある明るいルビー色と、フローラルでフレッシュな香りは好きです。あ、私もちょっとやりすぎているのかもしれません。難しいことは考えずに楽しみたいと思います。また次回の記事でお目にかかりましょう。
(文=矢島新子/産業医、山野美容芸術短期大学客員教授、ドクターズヘルスケア産業医事務所代表)

山野美容芸術短期大学客員教授。ドクターズヘルスケア産業医事務所代表。東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒。パリ第1大学大学院医療経済学修士、WHO健康都市プロジェクトコンサルタント、保健所勤務などを経て産業医事務所設立。10年にわたる東京女子医科大学附属女性生涯健康センターの女性外来、産業医として数千人の社員面談の経験より、働く女性のメンタルヘルスに詳しい。著書に『ハイスペック女子の憂鬱』(洋泉社新書)ほか。

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