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山崎将志「AIとノー残業時代の働き方」

長時間働いても目標未達の人の思考法…突然訪れるチャンスをつかむために「必要なムダ」に励むべし

文=山崎将志/ビジネスコンサルタント
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 また、仕事の拘束時間が過ぎたらすぐに会社を出て、本を読んだり映画を見たり、音楽やスポーツなどの趣味に打ち込んだり、友達と話したりすることなども、よい時間の使い方です。有休をきちんと消化して、旅行に出かけることも、新しい発想を生み出すことにつながるでしょう。

「必要なムダ」

 準備というと、今すぐに役立ちそうなモノや情報を探す人もいますが、そんなに都合のいいものはありません。一見無駄と思えるようなことを100個くらい試してみて、やっと役に立ちそうなものにひとつ出会うことができれば御の字です。

 1回探しに行くだけですぐに見つかることを期待するのは虫が良すぎます。私もビジネス書をつくる仕事をしていると、編集者から「すぐに役立つ情報をお願いします」と言われることがあります。そのような情報やアドバイスは、あるにはあるのですが、それはせいぜいちょっとした工夫程度のものであって、仕事のやり方を抜本的に変えたり、売り上げを飛躍的に伸ばしたりするようなものではありません。

 もしあなたが長い時間働いて、やっと仕事の目標をぎりぎり達成しているとしたら、あなたに必要なのは今とは違うことをすることです。それは今とは仕事のやり方を変えることや、新しい商品やサービスを生み出すことです。要するに、新しいアイデアを生み出すことです。

 新しいアイデアを生み出すためには、先ほどお話ししたような、いま携わっている仕事とは、一見直接関係のなさそうなことに時間を使わなければなりません。「必要なムダ」と言い換えてもよいでしょう。

 いつも遊んでいるように見えて、ここぞという時に斬新なアイデアを出し、それがいつの間にか会社の収益源になっている。あなたの直属の上司のことはわかりませんが、経営者は間違いなくそうした人材を求めています。もちろん、就業時間等のルールを守ることは必要です。しかし、魚がいる時に最大の成果を出すためには、こうした時間の使い方が必要なのです。

チャンスを掴む人

 チャンスは誰にでも平等に訪れます。しかし、チャンスを掴むことができるのは、しっかりと準備している人だけです。

 たとえば英語の勉強を例に考えてみましょう。「すぐに役立つ」と書かれている英語の勉強法の本を読んだとしても、身に付けて本当に役立てるには、時間がかかることは経験的におわかりのはずです。あなたの仕事でも日常生活でも、今は英語はまったく必要ない環境かもしれません。しかし、ある日突然海外の会社から商品について問い合わせの電話がかかってくるかもしれません。

 あるいはたまたま友達と食事に行ったレストランで軽く仕事の話をしていたら、隣のテーブルに座っていた外国人が同じ業界で働いている人で、そこからもしかすると仕事が始まるかもしれません。

 一生懸命英語を勉強したとしても、このような機会は訪れないかもしれません。しかし、いつも周到に準備してチャンスを窺っていれば、必ずチャンスは訪れると私はいつも考えています。

 なぜなら、あらゆる仕事の始まりは常に「偶然」だからです。仲の良い友達と出会ったきっかけも、今の仕事を選ぶことになったきっかけも、突き詰めて考えれば、たまたまクラスで隣に座っていた、就職情報誌をぱらぱらとめくっていたらパッと目に入った、こんな理由のはずです。

 現在の仕事に直接関係のない勉強や情報収集は、仕事の観点から言えばムダといえばムダです。しかしそれは、回り回って仕事の役に立ちますし、結局仕事の役に立たなかったとしても、あなたの人生を豊かにしてくれるはずです。

 スランプに陥った時こそ、今のやり方で一生懸命がんばることをせず、一歩引いて「必要なムダ」に時間を使いながら、チャンスが来るのをじっと待つ。そんな人が長い目で見たときにスランプを克服して成果を出しているのだと思います。
(文=山崎将志/ビジネスコンサルタント)

※漁師のエピソードは『競争と公平感』(大竹文雄、中公新書)を参考にした。

山崎将志/ビジネスコンサルタント

山崎将志/ビジネスコンサルタント

ビジネスコンサルタント。1971年愛知県生まれ。1994年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年独立。コンサルティング事業と並行して、数社のベンチャー事業開発・運営に携わる。主な著書に『残念な人の思考法』『残念な人の仕事の習慣』『社長のテスト』などがあり、累計発行部数は100万部を超える。

2016年よりNHKラジオ第2『ラジオ仕事学のすすめ』講師を務める。


最新刊は『儲かる仕組みの思考法』(日本実業出版社)

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