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抗菌剤入り歯磨き粉を使い続けると健康被害の恐れ…危険成分が歯ブラシにも残存するとの報告

文=ヘルスプレス編集部
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歯磨き粉を変えても2週間は歯ブラシにトリクロサンが残存

 しかし、今回のXing氏らによる研究は、このトリクロサンのしぶとくも侮れない一面を明らかにした。彼らの実施した歯磨きの模擬実験は、さまざまな種類の歯ブラシ22本(子ども用歯ブラシ2本を含む)を用いて行われた。

 結果、使用歯ブラシ22本中3分の1以上の歯ブラシに「歯磨き7~12回分に相当する量」のトリクロサンが蓄積されている事実が読み取れた。

 しかも皮肉にも、エラストマー(ゴム弾性を有する工業用素材)でつくられた歯石除去の「ポリッシングカップ」や「頬・舌クリーナー」が付いた歯ブラシが、とりわけ多量のトリクロサンを吸収している事実も判明した。

 一方、その悪影響を懸念し、トリクロサンを含まない歯磨きに切り替えたとしても、従来と同じ歯ブラシを使い続けた場合、向こう2週間は歯ブラシにトリクロサンが残存する点も明らかにされた。

「要は、トリクロサンを含まない歯磨き粉に変更しても、歯ブラシ自体を新しいものに替えないと、トリクロサンを曝露し続ける可能性が否めない」(Xing氏)

ホルモンバランスを乱し、水生生物にも有害な「トリクロサン」

 FDA指定の19種類の成分に関しては、ヒトや動物のホルモンバランスを乱す可能性が指摘されているものも一部含まれており、トリクロサンもその1種だ。

 また、ホルモンの働きを阻害するばかりか薬剤耐性菌をもたらし、多種な水生生物(魚、藻類、大型水生植物など)に有害な影響を与える可能性も問題視されている。

「汚染された歯ブラシを廃棄すれば、トリクロサンが環境中に排出される恐れも侮れない」

 これはXing氏らの研究陣が米国化学会(ACS)のニュースリリース上で表明した懸念だが、欧州に目を転じれば、なんのことはない、EUではすでに2015年にトリクロサンの衛生用品への使用を禁止していたのだ。

 しかし、トリクロサンの場合は前述のごとく、規制対象外の歯磨き粉以外にも衣料や調理器具への使用も認められており、依然として「抗菌」「薬用成分」の二枚看板は重宝されているようだ。
(文=ヘルスプレス編集部)

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