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ソニー、一部品メーカーから「SONY」に完全復活…ヒット商品量産の体制確立

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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部品メーカーからの脱却を狙うソニー

 
 iPhoneを開発して以降のアップルの躍進は、産業界全体に大きな影響を与えてきた。わが国の電機メーカーの状況を見れば一目瞭然だが、iPhoneの需要が半導体などの売り上げを左右する状況が出現したのである。

 1990年代後半以降、リストラを進めてコストを削減し、利益を捻出してきたソニーにとって、iPhone特需ともいうべきこの状況は業績を立て直すために見逃せないチャンスだった。同社はパソコン事業の売却など構造改革を進め、経営資源を画像センサー分野に集中的に投入してきた。その結果、ここへきて業績が回復した。

 画像センサーはスマートフォンなどの完成品に必要な部材だ。また、画像センサーは自動車の自動運転技術の開発にも不可欠であり、今後も需要の拡大が期待されてはいる。しかし、そのセンサーは、スマートフォンという完成品に搭載されて初めて、わたしたちの暮らしに影響を与えることができる。

 そう考えると、現在のソニーは新しいプロダクトをまとめ上げ、ライフスタイルを変えるほど社会的影響力を持った企業にはなっていない。スマートフォンなどIT機器の部品メーカーとしての存在のほうが大きい。

 ただ、今回のアイボの再チャレンジ発表は、ネットワーク社会が発展していくなかで、同社が原点回帰を重視していることの表れといえるだろう。犬型のロボットが人々に支持され、社会の革新につながるか否か、現段階ではっきりとしたことは言えない。重要なことは、新しいコンセプトをさまざまなプロダクトに反映するプロセスを重ねることだろう。それが、いつかヒット商品を生み出すことにつながるはずだ。

 かつてのソニーは、ウォークマンやハンディカムなどのヒット商品を生み出して、需要を創造することができた。それが同社の成長につながった。アイボの発表が、ソニーがヒット商品を生み出すための新しい一歩を踏み出したといえることを期待する。

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