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夫死亡の相続で妻を襲った不幸…子のためにつくった子名義の銀行口座で大トラブル!

文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人
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 案の定、たんすの中には定期預金の通帳が2冊ありました。名義は子供のものでした。1000万円ずつある定期預金について妻に確認すると、ご主人が生前子供のために残したものということでした。しかし、子供はすでにこの家を出ており、管理しているのは亡くなった被相続人と考えられます。

 税理士の顔を見ると、バツの悪そうな表情でした。税理士は、名義ではなく実際の預金の保有者がご主人であれば相続財産に含まれると説明し、妻は追徴税が発生することを予期して、「どうしよう」とか「まいったわ」と独り言を言っていました。しかし、それだけでは終わりません。亡くなる2年前に、被相続人の預金から500万円の引き出しがありました。これについて妻と子に確認すると、「知らない」と言います。これは宿題にして、この日の調査を終えることにしました。

【税理士からの連絡】

 1週間後、税理士から税務署へ電話がありました。預金から引き出した500万円は、子の住宅取得資金として贈与したもので、もうひとりの子に隠していたので調査時には言えなかったようでした。贈与税の申告もしておらず、定期預金2000万円分の相続税の修正申告と合わせて、贈与税の確定申告をすることになりました。申告期限を過ぎていますので、無申告加算税や延滞税が賦課されました。

【ポイント】

 今回のように、名義が亡くなった人のものではない口座の預金も、その保管方法や管理によっては相続財産に含まれます。相続時に税理士から確認があるはずなのですが、すべての税理士が相続に慣れているわけではないので、自身で知識を身につける必要があります。

 また、年間110万円以上の贈与には贈与税の申告が必要です。住宅資金であれば、特例を使って非課税とする方法もありますし、貸付金にして数年かけて返済していくこともできます。無申告であれば、どちらも選択できませんので、大きなお金を移動させるときは、税法を確認しましょう。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。

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