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木村隆志「現代放送のミカタ」

木村多江が徹底的に苦しむ『ブラックリベンジ』、深夜ドラマなのに視聴率ジワジワ上昇

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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 ただ、同作は衝撃的かつ、まったく先が読めないだけに、3部構成に発展する可能性もあるだろう。

木村多江の魅力と直結する「異なる悲壮感」

 一方の演出も、陰鬱な沙織の“リベンジ部屋”、雑多な「週刊星流」編集部、縦型画面の動画スクープ、“星流砲”や中吊り広告など、ディテールがいちいちおもしろい。

 特に「週刊星流」編集部は、約20年間「週刊文春」(文藝春秋)の記者として活躍したジャーナリストの中村竜太郎氏が監修を手掛けているだけあって、会話からデスクまわりまで、リアリティを感じさせてくれる。

 沙織の情緒不安定なキャラクターも絶妙に演出。1部ではヒットマンのような冷酷な目で復讐を進め、2部では夫、妹、編集長の裏切りを知って打ちひしがれるが、その姿は同一人物ながら異なる悲壮感を醸し出し、そのまま木村多江の魅力に直結している。

 だから、視聴者は「痛々しくて見ていられない」ではなく、「もっとやってほしい」「多江、さらに復讐の炎を燃やせ」という気持ちになるのだろう。もちろん、木村多江の類まれなる薄幸オーラによるところは大きいが、それに頼りすぎることなく、人間の持つ多面的なブラックさを引き出している。

福島編集長を超える悪人は現れるのか?

 今後の見どころとして真っ先に挙げられるのは、「本当に黒幕は福島編集長なのか?」。沙織・綾子姉妹の悩みを聞く精神科医・糸賀朱里(鈴木砂羽)、圭吾の元秘書で沙織の復讐をサポートする高槻裕也(堀井新太)、福島に利用されて捏造に加担した元「週刊星流」編集部の天満龍二(平山浩行)など、まだまだ油断できない人物が多い。

 現状の黒幕である福島編集長は冷酷かつ卑怯極まりない言動だけに、もしこれ以上の悪人がいたら……最後まで盛り上がるはずだ。

 ちょうど1年前に放送されたバカリズム脚本の『黒い十人の女』も、同枠で読売テレビが手がけた傑作だった。世間が『逃げ恥』ブームに沸いていたころ、ドラマフリークやコラムニストたちは同作を絶賛していたのだ。『ブラックリベンジ』はその再来を思わせる仕上がりだけに、ラストシーンまで「週刊文春」に負けないスクープを連発してほしい。
(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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