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日馬富士の暴行、相撲協会の異常な情報隠蔽体質…批判的メディアを「排除」

文=編集部
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日馬富士の暴行、相撲協会の異常な情報隠蔽体質…批判的メディアを「排除」の画像1貴乃花部屋へ謝罪に向かう日馬富士(日刊スポーツ/アフロ)

 大相撲の横綱・日馬富士が平幕・貴ノ岩に暴行を加えた事件が波紋を広げている。

 貴ノ岩は脳震盪、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いで全治2週間と診断されている。暴行の事実は双方が認めており、れっきとした傷害罪だ。事件は10月に行われた秋巡業中に起こったが、貴ノ岩が入院したのは11日後、公になったのは3週間近くもたってからだ。

 報道されているようにビール瓶で頭を殴ったとすれば、貴ノ岩が死ぬ可能性すらあった大事件だ。それにもかかわらず、日本相撲協会は内密に済ませようとしていた。警察が暴行の事実を把握して動き始めた後でも、協会側は暴行の事実を確認できていなかったと関係者は明かしている。

 大相撲は2007年、時津風部屋で集団暴行によって新人力士が死亡する事件が起き、暴力の排除に向けて取り組んでいたはずだ。だが、暴行事件を隠そうとするあたり、角界に暴力が根強くはびこっていることをうかがわせる。

 なぜ、大相撲から暴力をなくせないのだろうか。それは、封建的な縦社会が影響しているとスポーツ紙記者は分析する。

「大相撲は、『番付1枚違えば天地の差』といわれるほど上下関係が厳しい世界です。ちゃんこを食べる順番、風呂に入る順番など、細部にわたって番付が支配しています。最近は緩やかになってきているようですが、伝統的な部屋では、番付が抜かされれば兄弟子であっても弟弟子の付け人をしなければならないほどの縦社会です。そんな大相撲の頂点に君臨する横綱は、誰も逆らうことができないほどの権力者といえます。番付が下位の力士から見れば、まさに雲上人です」

 そのような社会に身を置いていると、自分の意に沿わないことは受け入れられなくなってくるのかもしれない。

 また、このような暴行事件の情報が表に出てきにくい相撲協会の実態について、こう明かす。

「相撲協会は非常に閉鎖的で、基本的にフリーのジャーナリストなどを受け入れていません。支度部屋などに入って取材ができるのは、相撲協会が発行する相撲取材許可証が必要で、相撲協会に批判的な記事を書いたりすれば、すぐに排除されてしまいます。実際、過去に東京相撲記者クラブ会友の杉山邦博氏が、テレビ番組でコメンテーターが相撲協会に批判的なコメントをしたことにうなずいたとして取材許可証を没収されたことがあります。

 実は日本サッカー協会も、Jリーグや協会に批判的な記事を書いたりしたメディアは、その後の取材を断られたりすることもありますが、相撲協会の閉鎖性は異常です」(同)

 11月15日放送の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)では、東京相撲記者クラブ会友の大見信昭氏が、「貴ノ岩はいかつい顔をしておりまして、説教しがいのある表情をしている」などと、あたかも被害を受けた貴ノ岩に問題があるかのような発言をして批判が殺到している。ともすれば、暴力を肯定し、事件を矮小化する意図があるととられかねない発言といえるだろう。

 今回の事件に関して取材すると、相撲関係者は一様に口が重い。スポーツ紙など相撲協会との関わりが深いメディアも、あまり厳しく追及する姿勢を見せていない。10年には、一部の力士が野球賭博に関わった事件で、警察の捜査情報をNHK報道局スポーツ部の記者が捜査対象の時津風親方に教えていたことがあった。メディアと取材対象者の距離が近づくと、良いこともあるが弊害もある。

 排他的な相撲協会の態度は、自浄作用が働かないようにしている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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