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【日馬富士暴行】相撲協会の「暴走」、貴乃花親方の「警戒」

文=編集部、協力=屋久哲夫/危機管理コンサルタント
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【協会の対応】

 もし事件を認知していたのなら、認知した時点で口頭での確認だけでなく、貴乃花親方貴ノ岩に診断書の提出を命じるべきでした。そして、診断書の内容から暴行事件が“ちょっとした、いざこざ”レベルではないと認識したら、たとえ診断書の内容と事件の因果関係が不明確だったとしても、その旨に言及した上で公表すべきでした。稽古によるケガとは思えないほどの重傷ですし、多数の目撃者も存在するため、とにかく協会はマスコミを自分たちに引き付けるために記者会見をすべきでした。もっとも重要なのはこの点です。

 協会がしっかり対応しないと、マスコミはどんどん関係者(と思われる人物)に片っ端から取材をしていきます。下手をすれば、あることないことが証言として出回り、その真偽を確認するだけで労力を費やさざるを得なくなり、大変なことになります。

 協会としては、九州場所を控え、せっかく回復してきた大相撲人気に冷や水を浴びせるようなことはしたくなかったかもしれません。しかし、ちょっとしたことでも協会が発表するとなれば、マスコミはまず協会に問い合わせるようになり、「協会がきちんとマスコミ対応するから、関係者は余計なこと言わないように」と統制できるようになります。そうしなければ、報道陣はどんどん関係者に取材するようになり、収拾がつかなくなります。

【貴乃花親方】

 貴乃花親方は協会を信頼していなかったのか、周囲から「大事にするな」という圧力があったのかはわかりませんが、警察に被害届を提出後、速やかに協会に連絡すべきでした。貴乃花親方も協会の幹部として九州場所への影響を抑えたいという配慮があったのかもしれませんが、貴ノ岩が事件後も巡業に参加していながら九州場所を休場するという、“外野の憶測”を生むようなやり方には若干疑問を感じます。被害届の提出というかたちできちんと公にして、協会による隠蔽を阻止しつつ、協会と歩調を合わせて会見を開くという方法もあったと思います。

【伊勢ケ濱親方】

 加害者側から表沙汰にするのが容易でないのは理解できますが、今回の事件は目撃者も多いので、いずれ表沙汰になるのは目に見えています。貴ノ岩が大けがをしたかどうかがわからなくても、協会に報告して、対応を相談すべきでした。事件の第一報前にすでに貴乃花親方に謝罪していた、との報道もありますが、こっそりではなく、協会関係者立会いの下で謝罪し、さらに伊勢ケ濱親方、貴乃花親方、協会の3者が揃って記者会見を行うべきでした。

上に立つ者の適切な報道対応

 繰り返しになりますが、協会は報道陣に対して「何かあれば直接こちらに聞いてください」と宣言して、きちんと報道対応する必要があります。

 私も警視庁広報課長を務めていたとき、事件担当課の課長に「忙しいなか、煩わしいとは思いますが、課長に対応していただかないと、現場に記者がアタリに行って、現場にしわ寄せがいくし、収拾がつかなくなります。『今のところ何もありません』だけでもいいので、ぜひ課長自ら報道対応してください」とお願いしたことが何度もありました。

 上に立つ者の適切な報道対応は、現場を混乱させないため、現場を守るための危機管理対応でもあるので、今回の事件を他山の石としたいものです。
(文=編集部、協力=屋久哲夫/危機管理コンサルタント)

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