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「平行世界」から飛び移ってきた女性の超常体験談

文=水守啓/サイエンスライター
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 翌日から、レリナは通勤し、自分がそれまで通りその部署で働いてきたかのように振る舞った。そして、日々が経過していくにつれて、少しずつだが、何かが確実に変わってしまったことを実感するようになっていった。自宅のクローゼットや引き出しの中には、買った覚えのない服があり、過去に投稿を行ったブログ記事も消えていた。Eメールやチャットの内容も保存されていなかった。だが、ニュースサイトやブログを閲覧すると、世界はそのままで変わっていなかった。

 レリナは探偵を雇ってアグスティンについて調べてもらったが、彼女の暮らす町に彼の形跡は何も見つからなかった。また、それ以前に付き合っていた彼氏も、存在した形跡すら見つけ出すことができなかった。

 特に衝撃を受けたのは、レリナの家族の対応だった。レリナには肩を手術した妹がいたが、そのことを家族に話してみても、みんな混乱してレリナを見つめ、訝しがった。妹が手術を行ったという事実を家族の誰からも確認できなかったのだ。そして、レリナの家族は自分がおかしくなったものとみなしたのである。

 結局、何カ月経過しても、自分に何が起こったのか、レリナにはその答えは見つけられなかった。そして、レリナはこのように考えるようになった。いつも通りベッドに横になり、翌朝目覚めてみると、自分は平行宇宙にいたのだ、と。

いったい何が起こったのか?

 
 さて、現在インターネットにおいてはフェイクニュースも飛び交っており、まず疑われるのがレリナの投稿内容なのかもしれない。これは、本人以外わからないことであるが、この出来事は今から9年前に起こった。自身の名前とメールアドレスを公開して情報を求めた事実を考えると、レリナが嘘をついていた可能性は極めて低いと考えられる。

 かといって、そう簡単に受け入れられるような話ではない。レリナの記憶の一部が何者かによって書き換えられてしまったのだろうか?(もちろん、その何者かの存在を仮定すること自体に困難を伴うが)

 仮に平行宇宙の存在を受け入れたとして、レリナを知る人々は、事件(分岐点となった時刻)の前後でレリナの変化に違和感を覚えなかったのだろうか? レリナの存在が入れ替わったとしたら、それまでのレリナはどこに行ってしまったのだろうか?

 ひょっとすると、このように考えることができるかもしれない。たとえば、レリナの会社において、あるプロジェクトを実行に移すべきか否かを選択すべき状況があったとする。そこで、そのプロジェクトを実行に移さなかった場合、レリナの所属部署も上司(経営者)にも変化は起こらない。だが、実行に移すことで、経営難に陥り、経営者が交代し、レリナが担当する仕事の内容も変化することになる。

 ここで、我々の知る世界では、実行に移さなかったシナリオは消滅する。だが、意識の力は見えない世界、つまり平行宇宙においては実体化し、実行されなかったシナリオでも存続する。通常、2つの世界は接触することはないが、なんらかの偶発的な事故によって、もともとそのプロジェクトを実行に移さない世界に属していたレリナが、実行に移したもう一つのシナリオの世界(我々の世界)に飛び移ってしまった可能性はどうだろうか?

 もちろん、現在の経営者の前はレリナの知る経営者だったのか、また自分がかつて所属した部署が過去に存在したのかどうか、レリナは詳細に触れていないため、確認はできず、これはまったくの憶測にすぎない。一方で、宇宙人のような存在によって部分的に記憶の書き換えが行われたとストレートに考えることもできようが、そんな悪戯のようなことが実行される理由にも疑問が残る。レリナには気の毒であるが、残念ながら解決法はそう簡単に見つかりそうにない。少なくとも今のこの世界でレリナには幸せに過ごしてもらいたいものだ。
(文=水守啓/サイエンスライター)

【水守 啓(ケイ・ミズモリ)】
「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、代替科学研究家。 現在は、千葉県房総半島の里山で農作業を通じて自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。
著書に『ついに反重力の謎が解けた!』、『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の秘密/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研パブリッシング)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』(明窓出版)などがある。
ホームページ: http://www.keimizumori.com/

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