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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

AIに企業が抱く大きな誤解

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員
AIに企業が抱く大きな誤解の画像1「Thinkstock」より

AI元年」の到来

 2017年も残すところあと1カ月ほどになり、今年の総復習や来年の予測をするような雑誌記事やウェブコンテンツが増え始めた。ファッションやお笑い芸人の世界ほどではないが、マーケティング業界もトレンド性が強く、一過性で終わるものも少なくない。スマホ元年、インバウンド元年、オムニチャネル元年、ドローン元年、VR元年のように毎年新しい手法が話題に上る。

 その流れでいえば、17年の筆頭は「AI元年」だろう。日用品から生活家電まで揃うECサービス「ロハコ」の「マナミさん」のように、ECサイト上で受け付けたユーザーの質問にチャット形式で自動返信するウェブ接客や、スーツブランド「P.S.FA」のようにお客様それぞれに最適な商品を提案して来店率を向上させるパーソナライズDM、中古車販売「IDOM」のように実店舗にカメラを設置し、来店者の属性や行動を解析して店舗レイアウトを最適化するなど、マーケティング領域でのAIの活用は急速に進んでいる。

 しかしながら、張り切ってAIを導入したものの、期待していたようなビジネス上の成果を生み出せずに苦労している企業も多い。これはAIの本来的な特性を考えると当然だろう。AIは導入した瞬間に成果が出るような魔法の杖ではない。子どもが栄養をとって成長するように、AIも関連するデータを食べさせる(データを収集する)ことで学習を進め、成長していく代物だ。大量のデータを食べ、咀嚼(分析・解釈)するためには結構な時間がかかるのだ。

 また、AIを導入している企業が、本当にお金を投じる価値があるのか真偽を確かめながらスモール・スタートをしていることの影響も大きい。さらには、マーケティングの世界によくある、「うちの会社はAIを導入して何かできないのか?」といった経営層からの鶴の一声によって、「手段が目的化」した状態で開始してしまっていることも強く影響しているだろう。本来であれば、AI=「課題解決の手段」であり、AIを活用する目的=「自社の課題認識」があるはずだ。しかし実態としては、そこが抜け落ちた状態でAIにできることをリスト化し、そこから何か解決できる問題がないか探し出すといった本末転倒の循環に陥っている。

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