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日産の検査不正、ゴーン流コミットメント経営が原因…経営トップは責任を曖昧に

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 にもかかわらず、西川社長がゴーン流マネジメントを不正の原因との見方を必死になって否定するのは、問題解決に自身の進退がかかっているからだ。西川社長はゴーン氏から「立て直すのはあなたの仕事と言われた」と、問題を丸投げされたことを明かした。西川社長は、2013年にライバル各社が好業績をあげるなか、日産だけが下方修正を繰り返した結果、ゴーン氏はトップの座に踏みとどまりながら、当時日産のナンバー2だった志賀俊之氏を事実上更迭したのを目の当たりにしている。「世間のすべてを敵に回しても、ゴーン氏だけは守り抜く」(部品メーカー元社長)ことが自身の生き残る道と西川社長が感じていても不思議ではない。

恐怖政治

「そもそもゴーン氏は世間の目に関心を持っていない」(専門誌記者)

 その証拠に、これだけ大きな問題を起こしながら役員の経営責任として明示したのは、10月から18年3月までの半年間、西川社長が役員報酬の一部を自主返納するだけにとどまり、その西川社長は日産の信頼回復と国内事業の挽回が自身の責任と言い切る。他の役員の経営責任については「自主的な判断」で、ゴーン会長を含めて明らかにしていない。17年間にわたって日産のトップに君臨しているゴーン氏をはじめ経営責任の不透明さを記者から追求された西川社長は「(進退は)取締役会で決められる性格のもの」と述べた。しかし、日産の筆頭株主は、ゴーン氏が覇権を握るルノーだ。

 燃費不正問題を機に資本提携した三菱自動車の経営再建でゴーン氏は、燃費不正問題の責任を明確化するとして日産の傘下入り後に辞任する意向を示していた三菱自の益子修会長兼社長を社長職に留任させた。この時も株主総会で批判の声が上がったものの、ゴーン氏は「株主が決めること」と述べて一蹴。三菱自の筆頭株主は日産になったからだ。

 世間の目は無視し、資本の論理を盾に自分の思い通りに経営するゴーン氏と、ゴーン氏の恐怖政治にかしずく日産経営陣。日産は今後、完成検査の不正に関して管理層などを処分する見通し。しかし、経営陣が超高額な報酬を一部自主返納したところで、現場の士気が上がることはない。日産の真の再生の道のりは険しそうだ。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)

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