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ジャパネット・高田元社長、V・ファーレンJ1昇格導いた「優しすぎる」改革の舞台裏

文=森井隆二郎/A4studio

 経営難に陥ったとはいえ、今までのクラブの取り組みには無駄ではなかったものもありますので、残すものは残し、ダメなものは捨て、なおかつ新しいものを加えていく。このような考え方で私は現在も改善・改革にあたっており、そのなかで監督と選手が存分にがんばってくれた結果、今回の集客や戦績につながったのではないでしょうか」(同)

 来季はJ1昇格ということで周りからの期待も必然的に高まるだろうが、選手たちがそれに応えられるよう、会社としてのバックアップ体制は順次強化しているという。

V・ファーレンは元陸上選手の為末大さんに走り方の指導をしていただいており、メンタル面ではスポーツドクターの辻秀一先生を講師に招いています。また、タニタ食堂と契約して食事指導に乗り出したり、良質な睡眠の確保のため『エアウィーヴ』のマットを選手たちに使ってもらったりもしています。そういう環境づくりに投資をし、選手のコンディションを整えていけば、今後より一層の力を発揮してくれることでしょう」(同)

選手の士気を高めるために海外旅行もプレゼント

 これら以外にも、高田氏は自宅にて選手たちとの食事会を開いたり、今冬にはJ1昇格を祝して選手たちをハワイ旅行に招待する予定だったりと、その太っ腹な対応には世間から好意的な声が多い。そこにはいったい、どんな意図があるのか。

「食事会については取り立てていうほどのことでもないのですが、私もジャパネットを30年近く経営してきましたから、選手みんなの思いがひとつにならなければミッションを果たせないということはわかっているつもりです。モチベーションを上げるという意味では、食事会のようなコミュニケーションの機会はすごく有効です。

 ハワイ旅行は、選手との食事会の席で私が酔った勢いで『J1に上がったら海外に一緒に行くぞ』と、つい言ってしまったのが最初でした。勢いで言ってしまいましたが、約束は約束として私財を投げ打ってでも個人的に連れて行こうと思います(笑)。シーズンオフの期間でも選手はみんな忙しいのですが、なんとか日程を調整したいと思っています」(同)

 最後に、V・ファーレンにまつわる将来の展望を聞いた。

「『1年先、2年先にはどうなりたい』というより、一日一日をどのように改善・改革していくかを意識しながら、日々精進していこうと考えています。それを実行できたからこそ、今季はJ1昇格を決められたのだと思いますし、人間は常に自己を更新していくことが大事でしょう。“今”を一生懸命にがんばっていたら、目標には自ずと近づいていけるはずです。

 それに、監督も選手もスタッフも特別ではなく、みんな同じ立ち位置にあります。スポーツから礼儀や挨拶を学び人間性を磨くということも、V・ファーレンのようなプロチームの課題ではないでしょうか。

 ジャパネット以外のスポンサーや行政、ファンのみなさんの知恵を借りながら、これからもっともっとV・ファーレンを県民の誇れるクラブにしていきたいですね。そのための力がだんだん湧いてきていることを、私も実感しています」(同)

 ジャパネット時代とはまた違った“名物社長”として、新たなキャリアを歩み始めたばかりの高田氏。長崎のみならず、日本中を大いに盛り上げてくれそうだ。
(文=森井隆二郎/A4studio)

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