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ガソリン価格がジワジワ高騰している…今後1年間は高止まりか

文=兜森衛
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「協調減産といいますが、OPECがすでに機能不全に陥っている。サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)が『テロを支援し、イラン寄りだ』として、今年6月にカタールとの国交を断絶していますし、OPEC内でのイスラム教・スンニ派の勢力も弱体化しているからです。逆に、イランやイラクなどシーア派は連携を強めている。

 つまり、協調して減産するという枠組みは崩壊しかかっているのです。総会で決議できたとしても、離反して、減産に従わず増産する国が出てくるはずです。アメリカのシェールガスも復活しているし、1バレル60ドルを超えるのはまず無理。サウジアラビアが体制崩壊でもしない限り、1バレル60ドルより上にはいかない。むしろ、下がるのではないかと思います」

“サウジアラビアの体制崩壊”とは穏やかではないが、村上研究員によれば、決して“あり得ない話”ではないのだという。すべては今年6月21日、サウジアラビアのサルマン国王(82)が、息子のムハンマド副皇太子兼国防大臣(32)を皇太子に昇格させたことが始まりだ。

 ムハンマド皇太子は王位継承第1位となり、副首相と国防大臣と経済開発評議会会長を兼務し、サウジアラビアの実権を握った。ところが、それをおもしろくないと思う王族がたくさんいたのだ。そこで、ムハンマド皇太子は11月4日、汚職摘発と称して、11人の王族を含むサウジアラビアの政財界のエリート30人以上を一斉摘発した。

 首都・リヤドのリッツカールトンホテルを借り上げ、客室を拘置所代わりにして取り調べを行った。「不正蓄財した財産を放棄すれば釈放する」ことで合意したが、没収された財産は1000億ドル(約11兆3000万円)というからケタが違う。拘束された王族のなかには、前国王の息子で国家警備隊長官だったムトイブ王子もいた。サウジの政変である。

「一斉摘発の狙いは、おそらく反対派を排除するためです。なかでも、一番権限を持っていたのが国家警備隊長官だったムトイブでした。これでムハンマド体制が盤石になったのかは、現時点では不明です。将来、ムハンマド体制を打倒しようという王族が現れてもおかしくないからです。ムトイブを排除したので、暗殺やクーデターは起こしにくくなった。考えられるとすれば、王族が子飼いの私兵を使って権力闘争を起こす可能性です」(村上研究員)

 中東における地政学的リスクの高まりは、原油価格の高騰につながる。世界最大の産油国であるサウジアラビアの“政情不安”。30日のOPEC総会が終わっても、まだしばらく目が離せそうにない。
(文=兜森衛)

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