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ツムラの「黒歴史」…くすぶる中国企業傘下入り説

文=編集部
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ツムラの「黒歴史」…くすぶる中国企業傘下入り説の画像1「Thinkstock」より

 漢方薬大手ツムラは中国の保険大手、中国平安保険集団と資本・業務提携した。10月13日付で第三者割当による新株発行と自己株処分により、中国平安保険の子会社、中国平安人寿保険がツムラの発行済み株式の10.04%(議決権ベース)を保有する筆頭株主になった。ツムラの調達額は273億円。中国市場に本格参入したいツムラと、製薬事業を強化したい中国平安保険の思惑が一致した。「老舗のツムラが、中国企業が筆頭株主になることを認めるとは意外」と証券市場からサプライズの声が挙がった。

 漢方薬のルーツは中国だが、日本を訪れる中国人観光客の間でツムラの漢方薬の人気が高い。中国では偽物や品質が劣る製品が横行していることが背景にある。今年7月、中国政府は漢方薬にあたる中薬に関する法律を施行した。

 この提携を機に、両社は中国に合弁会社を設立する。出資比率は今後詰める。協力して伝統的中薬の調査、開発、生産の技術を高め、伝統的な中薬の薬草栽培から最終製品までの全工程にわたる品質管理基準システムの構築と完成を目指す。中薬とは薬草、薬用植物のことで、日本でいう漢方薬である。

 平安グループは、保険、銀行、証券、投資、インターネットなど、さまざまなサービスを手がける総合金融会社だ。1988年に社員わずか13名の小さな保険会社として中国深圳で創業。中国初の共同出資保険会社となり、中国全土に142万人(うち111万人は保険販売代理員)の従業員を抱えるまでに急成長。2004年6月に香港H株上場、07年3月に上海A株上場を果たした。

 生保の中国平安人寿、損保の中国平安財産保険はともに中国第2位、平安年金基金は中国1位。平安銀行は中国初の共同出資会社だ。

 平安グループの16年12月期の連結決算は、総資産5兆5769億元(約95兆円)、売上高7124億元(約12兆円)、純利益623億元(約1兆円)。フォーブス誌の「2017年グローバル2000社」ランキングで16位、フォーチュン誌の「2017年グローバル500社」ランキングで39位。中国屈指の総合金融グループである。

 平安グループは、日本における投資拠点として15年11月、平安ジャパン・インベストメントを設立した。16年5月、ジャスダック上場の分譲マンション会社、アスコットに投資。澤田ホールディングスからアスコット株を32.3%、14億円で取得してアスコットの筆頭株主となった。17年4月、アスコットによる90億円の第三者割当増資を引き受け、発行済み株式の半数を超える株式を握り、子会社に組み入れた。澤田HDはエイチ・アイ・エスの創業者、澤田秀雄氏が筆頭株主で、モンゴルの大手銀行を保有している。

 平安グループのツムラへの投資は、日本の漢方薬業界に対する中国企業の投資としては最大規模になる。「両社が共同事業を立ち上げるのに数年はかかる。軌道に乗るのはまだまだ先だ」(日本の製薬会社の首脳)。追加資金が必要になり、「平安保険グループがツムラの新たな第三者割当増資を引き受け、子会社に組み込むことだってあり得る」と証券市場では見ている。

BusinessJournal編集部

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