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三菱財閥、崩壊の危機…なぜ三菱マテリアルは不正を9カ月も隠蔽したのか

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政策保有株式にメス


 実は、三菱グループではネガティブな情報については公表を遅らせることは過去にも見られた。

「1990年代末から2000年代初頭にかけて社会的に問題視された不良債権の実態について東京三菱銀行(当時)は、他の大手銀行よりも遅れて公表した。体力に勝っていた同行は他行の出方を見極めた上で、最良のタイミングをはかることができた」(メガバンク幹部)

 こうした芸当がなぜ三菱グループ企業では許されるのか。それは三菱グループの堅牢な株式持ち合いに守られた「ガバナンスの助け合い」がある。

 三菱グループは、三菱商事、三菱重工業、三菱東京UFJ銀行を中核とする三菱29社から成る「金曜会」と呼ばれる組織を持つ。三菱グループ企業の経営者による親睦組織というのが建前だが、実態は三菱グループ企業間の互助組織の色彩が濃い。

 そのルーツは、敗戦後の財閥解体から高度成長期に向けて、三菱グループ企業から外部資本の介入を阻止することにあった。その象徴が株式の持ち合いであり、「系列」企業間取引の優先にあった。その名残は、「ガバナンスの高度化」が問われる今も色濃く残っている。いわば株式の持ち合いにより三菱グループ企業は守られているという構図だ。その中心にいるのが三菱UFJフィナンシャル・グループにほかならない。

 金融庁関係者によれば、三菱UFJは、2015年3月末で2.8兆円もの政策保有株式を有している。みずほ2.0兆円、三井住友1.8兆円に比べても突出している。三菱UFJは5年程度をかけて約3割に相当する8000億円を削減する目標を掲げているが、依然として巨額で、「コアになる三菱グループ企業の政策保有株式は聖域として残りかねない」(同関係者)と見られている。

 だが今、ここに思わぬ伏兵が現れ、三菱グループ企業を震撼させている。元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長の田中正明氏(現金融庁参与)が、11月15日に開かれた金融庁の企業統治に係る諸問題を議論する有識者会議で、金融機関が保有する「政策投資株」について、「経営の安定というよりも、経営者の地位の安定に資するものだ。(政策投資株)の保有を法令で禁止することを検討する時期に来ているのではないか」と指摘したのだ。

 金融機関の政策投資株は、企業の安定株主確保策の中核に位置するもので、もし法令で禁止されれば市場に激震が走りかねない。株価下落の引き金ともなりかねない劇薬だ。この田中氏の発言の背後には、森信親金融庁長官の問題意識もあると見られており、今後金融界の中心テーマに浮上する可能性がある。

 三菱UFJの政策保有株式が禁止されれば、三菱グループ企業間のガバナンスの互助関係は崩壊しかねない。そうなれば三菱マテリアルで発覚した不正も公表時期を調整することはできなくなるだろう。
(文=編集部)

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