富岡八幡宮は9月、正式に神社本庁から離脱したわけですが、離脱して困るのはむしろ神社本庁のほうです。神社はお正月にお札を販売しますが、その売上の半分を神社本庁に納めることになっているからです。神社は全国に8万社もあるので、莫大なお金が神社本庁に集まる。富岡八幡宮のような歴史のある大きな神社なら、売上も潤沢なので離脱しても困らない。むしろ、これまで納めていた上納金が不要になるわけです。殺人事件こそありませんでしたが、神社もお寺もお金が絡むので、後継者争いは珍しくありません。仏教では女性の住職も誕生しています。ちなみに、現在の神社本庁の名誉総裁は天皇陛下のお姉さまです」

 神社の後継者争いの例は多い。全国の八幡神社を束ねる大分県の宇佐神宮でも、宮司の女性後継者をめぐり争いが起きている。先代の宮司が亡くなり、唯一の後継者である女性が神職の資格を取り宮司となることになったが、神社本庁が「経験不足」を理由にこれを認めず、大分県神社庁長を宮司代行に指名。この宮司代行が死亡したため、再び女性を宮司にするよう具申したが、またも県神社庁長が派遣された。今度は神社側が代行宮司の「能力不足」を理由に解任嘆願書を提出し、宮司が退任を申し出た。しかし、神社本庁が本庁職員を代行宮司に派遣したことから、宇佐神宮は神社本庁に“絶縁状”を叩きつけた。こうしてみると、神聖なはずの神社の世界はまるでヤクザのようにもみえるが、前出と別の寺院関係者はこう解説する。

「もともとヤクザの組織は寺の組織をまねたもの。お寺も末寺から総本山まで寺銭を上納する仕組みで、その仕組みはヤクザも同じ。ヤクザも下から上へ上納金を納め、跡目を決めるときには本部の承認が必要ですから、何も変りませんよ」

使われた凶器の意味

 さらに同関係者は、今回の事件で使われた凶器にも注目する。

「凶器が日本刀というのが重要です。刀は神社の三種の神器のひとつだからです。ご神体の刀を凶器にしたのかどうかは不明ですが、あえて日本刀を使ったということは、正義は我にありと示したかったのでしょう」

 元横綱・日馬富士による暴行事件で今、大相撲が揺れているが、江戸勧進相撲(現在の大相撲)発祥の地である富岡八幡宮も殺人事件で大揺れ。境内には「横綱力士碑」など大相撲にまつわる数々の石碑が建つ富岡八幡宮。相撲の神様の祟りではあるまいが、新しい宮司には果たして誰が就任するのだろうか。
(文=兜森衛)

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