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土屋健「楽しい古生物・化石の世界」

巨大カエルや大蛇、恐竜を食べていた可能性

文=土屋健/オフィス ジオパレオント代表、サイエンスライター
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巨大恐竜の卵を丸呑み?道路幅と同じ長さのヘビ

 カエルだけではない。恐竜を襲撃していた、より強い証拠を伴うものとして、インドの白亜紀の地層からは恐竜の巣を襲うヘビの化石が発見され、10年に報告されている。そのヘビの名前を「サナジェ・インディクス(Sanajeh indicus)」という。

 ベールゼブフォの「恐竜を食べていた」というのは、あくまでもその大きさと噛む力からの推測によるものだ。しかし、サナジェの場合、その化石のそばに3個の恐竜の卵の化石と1匹の恐竜の幼体の化石があった。

 サナジェの大きさは、推定3.5mほど。ニシキヘビとはいかないまでも、現在アメリカ大陸の熱帯を代表する大蛇ボア・コンストリクターとほぼ同等である(ボア・コンストリクターの全長は1~4.5m)。また、日本の一般的な道路の車線幅もほぼ同じだ。今度、道路を渡る際にでも、サナジェのことを思い起こしてみてほしい。対して、サナジェのそばにあった恐竜の卵の化石は、直径が15cmほどだった。

 サナジェには、卵を食べるような特別なつくりは確認されていない。しかし、全長3.5mという数字が示す大きな体があれば、直径15cmほどの卵を丸呑みすることは不可能ではなかったとみられている。

 ちなみに、この卵の中の恐竜は、竜脚類というグループに属するものとされる。竜脚類は、小さな頭、長い首、巨大な樽のような胴体に、ゾウのような四肢、長い尾を持つ植物食恐竜のグループで、いわゆる「巨大恐竜の代名詞」だ。全長が10m超、20m超という種を“普通に”含んでいる。そんな巨大恐竜であっても、卵あるいは孵化直後の状態では、サナジェにとって格好の獲物だったにちがいない。

 もっとも、サナジェが「化石として残っている」ということは、「その場で死亡した」ということだ。想像してみてほしい。かつて、巨大恐竜の卵が並ぶ巣があった。そこでは、今にも卵が孵化し、幼い命が生まれようとしていた。その瞬間を狙い、大型ヘビのサナジェがやってきた。サナジェは、その顎門を大きく広げ、まだヨチヨチ歩きの幼体をひと呑みにしよう……としたところで、なんらかの理由で竜脚類の巣ごと泥に覆われ、死亡し、ともに化石化への道を歩むことになった。

 幼い恐竜たちの命はもちろん、食事の瞬間という“至福タイム”を襲われたヘビについても、冥福を祈りたい。

哺乳類にもいた“恐竜の襲撃者”

 両生類のカエル、爬虫類のヘビ。彼らは恐竜を襲うことができた。それなら、哺乳類にもそうした“猛者”がいても不思議ではないだろう。

 さて、ところであなたの「恐竜時代の哺乳類のイメージ」はどのようなものだろうか?

土屋健/オフィス ジオパレオント代表、サイエンスライター

土屋健/オフィス ジオパレオント代表、サイエンスライター

修士(理学) 日本古生物学会会員 日本地質学会会員 日本文藝家協会会員
日本地質学会刊行一般向け広報誌『ジオルジュ』デスク
オフィス ジオパレオント

Twitter:@paleont_kt

『白亜紀の生物 上巻』 本書は、シリーズ第7作目『白亜紀の生物 上巻』。 大きな絶滅イベントが発生することなく始まる白亜紀。 ジュラ紀の温暖湿潤な気候がそのまま引き継がれたため、“生物の天国”は白亜紀でも続きます。 恐竜はますます栄え、陸上世界に君臨。 一方で哺乳類も進化を遂げ、恐竜の幼体を襲うほどに力をつけていました。 amazon_associate_logo.jpg

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