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片田珠美「精神科女医のたわごと」

山尾志桜里議員、もし不倫疑惑相手と結婚しても、うまくいかない可能性…2つの快楽の消失

文=片田珠美/精神科医
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他人のものを奪う快楽

2)他人のものを奪う快楽も、不倫には伴う。そもそも、フランスの精神分析家ラカンが見抜いているように「人間の欲望は他者の欲望」であり、他人の欲望の対象だからこそ魅力的に映るのはたしかだ。そのうえ、そういう対象を奪い取れば、勝ったような気持ちになれる。

 こうした傾向は、とくに不倫体質の人に強く認められる。知り合いの30代の女性は、不倫を繰り返しており、一向に結婚する気配がない。一度不倫関係にあった年上の男性と結婚したことがあるのだが、うまくいかず、短期間で離婚したらしく、それ以後複数の既婚男性と肉体関係を持っているようだ。彼女は、「奥さんと顔見知りのこともあるけど、いくら美人で気取った奥さんでも、私のほうが勝っていると思える」と話す。

 一方、婚約者がいる女性や人妻にばかり手を出す男性もいる。そういう男性は、ターゲットの女性を婚約者や夫から寝取ったとたん、一気に冷めるようだ。筆者の外来を受診した20代の女性は、人妻でありながら、同じ職場の男性から誘惑されて関係を持ち、それが夫にばれて離婚したのだが、その後不倫相手の男性が急に冷たくなったので、落ち込んだという。この男性は、前の職場でも、人妻を誘惑して不倫関係になり、その夫から怒鳴り込まれたことがあるらしい。

 この手の不倫体質の人は、寝取ることによって勝利感に浸る。だから、たとえば夫が東大卒の人妻と肉体関係を持つことによって「俺は東大卒に勝った」と思う男性、あるいは美人妻を持つ男性と不倫関係になることによって「あの美人の奥さんに勝った」と思う女性がいる。

結婚することによって失われる2つの快楽

 不倫関係にあった男女が結婚すれば、タブーを犯す快楽は失われる。また、他人のものを奪う快楽も一瞬であり、長続きしない。だから、さまざまな困難を乗り越えて結婚しても、しばしば幻滅が待っているようだ。

 第一、この2つの快楽を求めるのなら、別の相手と不倫関係を始めるしかない。実際、知り合いの男性医師は、不倫相手の女性と結婚するものの、そのたびに別の女性と不倫して離婚ということを繰り返している。周囲はあきれているが、本人は全然懲りてないようなので、つける薬がないとつくづく思う。

 不倫関係にあった男女が結婚しても、うまくいかないのは、浮気されて不幸になった夫や妻がいることにもよるが、それだけでなく、この2つの快楽が失われることにもよる。その辺りの機微がわからないと、同じことの繰り返し、つまり「反復強迫」になるだろう。
(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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