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伊藤博敏「その裏に迫る」

小池都知事、ゼネコンにも完全屈服…豊洲で入札改革中止、軒並み落札率99%

文=伊藤博敏/ジャーナリスト
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 いずれも価格は、前回の不調から予定価格は40%前後、上乗せされ、事前に公表されて実質的な1社入札。豊洲市場を2018年10月に開場すると宣言した以上、小池氏は業者選定を遅くとも18年1月、できれば今月中に決めたかった。そのためには、ゼネコンの主張を“丸呑み”するしかなかった。

強気のゼネコンの死角

 ゼネコンがサボタージュしたのは、ひとつは工事受注が絶好調で各社、無理して工事を取る必要がないこと。2つ目は小池退潮を見切って、かつての都の官僚と都議会自民党と自分たち業者とのトライアングルを復活させていることである。小池氏は、もはや眼中にない。

 東北復興、東京五輪と官公需は強く、訪日観光客を見込んだホテル需要やマンションブームなどで民需も強く、ゼネコン各社は絶好調。なかでも鹿島、大成、清水、大林組のスーパーゼネコン4社は、17年3月期決算で増収増益を達成し、笑いが止まらない。
 
 面倒なことを言って注文をつける小池都政に従う必要もない。これは業界の総意で、そもそも豊洲市場においても3棟だから3社が受注したが、外れた大林組は清水建設とJVを編成しており、しかも受注した水産仲卸棟は土地改良工事、建設工事とも受注金額は最大。豊洲市場は4社でバランスを取った予定調和の世界である。

 小池入札改革を忌避したゼネコンサイドにも言い分はある。

「役所の予定価格やスケジュールを優先すれば、赤字になることもあるし、現場に無理を強いることもある。でもそれを聞くのは、いずれどこかの工事で見返りや配慮を期待できるから。その“暗黙の了解”を『しがらみ』という言葉で切って捨てたのが小池さん。正直、豊洲市場をめぐる混乱は、自業自得だと思う」(ゼネコン幹部)

 10月の総選挙で希望の党は敗北。小池旋風は完全にやんで、むしろ逆風が吹き荒れている。その象徴が、今回の入札結果だろう。

 だが、調子に乗ってはいけない。小池氏を屈服させたゼネコンの論理が、今、リニア中央新幹線の建設工事で、「違法な建設調整」として暴かれている。捜査着手した東京地検特捜部にとっては、再生をかけた摘発であり、まず大林組の家宅捜索から着手したが、やがてスーパーゼネコン4社の談合システムを暴くことになるだろう。

「小池入札改革」は、豊洲市場の第1段階ではゼネコンのサボタージュによって敗れたが、彼らの天下が続く保証はなく、「小池復活」の芽は残されている。
(文=伊藤博敏/ジャーナリスト)

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