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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

19~22歳だけが対象の「マジ部」に、企業がこぞって無料でサービスを提供する理由

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季
19~22歳だけが対象の「マジ部」に、企業がこぞって無料でサービスを提供する理由の画像1「マジ部」の画面

 今、若者の間で「マジ●部」【編注:●の正式表記は星マーク】というアプリが流行しているのをご存じだろうか。20代後半以降の読者は聞いたこともないという人がほとんどかもしれないが、それも無理はない。

「マジ☆部」とは19~22歳世代を対象に、スキー、スノボ、ゴルフ、スポーツ観戦、温泉といったさまざまなレジャーを無料で体験できるサービスなので、その対象年齢外だとなかなか知り得るのは難しい。だが、2015年に同アプリは、観光庁が主催する「若者旅行を応援する取組表彰」で観光庁長官賞を受賞するなど、若者を中心に近年注目を集めるコンテンツなのだ。

 無料なので、アプリに協力する団体サイドに直接的な利益は生まれないはずだが、このサービスはなぜ成立しているのだろうか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏にマーケティングの視点から解説してもらった。

コストを度外視して無料サービスの提供

「企業が自社サービスの無料提供を積極的に行おうとする背景には、若者の“嫌消費”が顕著になっていることをあげることができます。将来への不安が染みついた現代の若者世代は、スマホやタブレットでほしい情報や娯楽が間に合ってしまうこともあり、消費よりも貯蓄に可処分所得を割く傾向を持っています。そこで、企業が中長期的な顧客獲得を考えた場合に、こういった若者世代の消費意欲を刺激する必要があったわけです」(有馬氏)

 バブルを体験した世代は、当時若者として消費を美徳と考えており、中高年代からシルバー世代となった現在も消費意欲は旺盛な人が多い。だが、今の若者が年齢を重ねたときに同様に消費してくれなければ、企業としては先行きが暗くなってしまう。そこで、“トライアル・マーケティング”として、「マジ部」に協力する企業が増えている、と有馬氏は話す。

「今のお得意様だけを相手にしていたら、下の世代の動向を見失ってしまいます。また、無料にしたら利益が出ないといっても、体験してもらわなければ楽しさを実感してもらうチャンスさえ失い、将来的な利益にもつながりません。今の若者は消費することに慎重ですし、世の中にはお手軽な娯楽があふれています。そのなかで自社のサービスを選んでもらうことは簡単ではありません。そのハードルを少しでも下げる方法として、入り口としてのサービスの無料提供があるのです」(同)

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