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スペースワールド、「閉園」CMにネット大爆笑…批判スレスレで駆け込み客急増か

文=鷹野義昭/CM戦略アナリスト・マーケティングディレクター

 先日、秀逸なローカルCM・地方PR動画を紹介するサイト「ぐろ~かるCM研究所」から、「ぐろ~かるCM大賞2017」が発表されました。

 今年で第3回目を迎える「ぐろ~かるCM大賞」は、2016年12月~17年11月の期間に、同サイトにノミネートされたCMおよびPR動画152素材のなかから、テレビCMの専門家集団と女子大学生審査員により決定されたものです。

 今回は、大賞に選ばれた「泣ける!」「笑える!」素材を取り上げ、マーケティング視点で解説していきます。

「自虐」を「ギャグ」に替えた、まさかのハイセンス!

 17年12月末をもって27年間の歴史に幕を閉じる北九州市八幡のテーマパーク「スペースワールド」。この衝撃的なCMを見て、驚き慌てて“駆け込み来園”をした方も多いかと思います。

 ランドマークである大きなスペースシャトルを背景に、厳かな表情で並ぶ大勢の職員の皆さん。オープンからの一日一日に想いを馳せた映像に重なる「閉園、申し訳ありません」のナレーションで寂しさがピークに達します。さあ、どんな展開になってしまうのか。オンエアできるCMとして成立するのか――。

 そんな心配をよそに、その後に続くナレーションでしんみりした空気は一転。思わずズッコケたくなるようなオチ、「なくなるヨ!全員集合」の明るい掛け声。特に50代以上の人は、本能的に大爆笑をそそるフレーズが続きます。

 こうした意外性の高い見事な展開が話題となり、全国ネットのテレビ番組などにも大いに取り上げられCM以上の露出効果を得ています。動画共有サイト「YouTube」上での再生回数は50万回を超えており、ローカルCMとしては異例の拡散力といえます。

 ネガティブなイメージを笑いに転換する場合、クリエイティブを間違えるとひんしゅくを買いかねません。しかし本素材では、真摯に閉園に向き合い、来場者への感謝を伝える姿勢もしっかり表されていることで、視聴者から愛される絶妙なバランスを実現できています。

「なくなる」と言われれば、「さみしい!」「最後に行っておかなきゃ!」と思う心理をうまく突き、リピーターや新規の駆け込み客といった来場者の増加をしっかりとつかみ取っています。そしてそれ以上に、今後のスペースワールドの「力強いポジティブな再生」をも予感させるCMなのです。

鷹野義昭

鷹野義昭

株式会社テムズ代表取締役<CM戦略アナリスト・マーケティングディレクター>
1963年、長野県生まれ。大手広告代理店を経て、90年より現職。テレビCMを中心としたマーケティング戦略立案に携わり25年以上。1000素材を超すテレビCMの戦略策定・分析・広告効果測定の実績を持つ。
主な著書に『CM好感度NO.1だけどモノが売れない謎 ‐明日からテレビCMがもっと面白くなるマーケティング入門‐』(ビジネス社)などがある。近年では、秀逸なローカルCM・地方PR」動画を集めたサイト「ぐろ~かるCM研究所」の所長を務める。

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