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国がタクシー業界を保護してウーバーを規制、国民にとって望ましいことなのか?

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
国がタクシー業界を保護してウーバーを規制、国民にとって望ましいことなのか?の画像1タクシー乗り場(「Wikipedia」より/Kuha455405)

 最近、ライドシェアや民泊など、いわゆる“シェアリング・エコノミー”の傾向が拡大している。その背景にあるのが、観光などを目的とした訪日外国人の増加がある。中国ではライドシェアを活用することが当たり前だ。すでに、羽田空港や成田空港などの周辺では、中国人の運転手が中国人観光客を無許可で送迎するケースが増加してきた。いわゆる“白タク”だ。すでに中国人観光客を対象とした白タクが摘発されるケースも出ている。

 この問題を受けて、これまで規制によって保護されてきたタクシー業界は、規制緩和に反発している。その一方、規制を緩和してライドシェアを解禁し、インバウンド需要を的確に取り込める環境を整備すべきだとの意見が出ている。確かに、規制に守られた状況が続くと、企業が環境の変化に適応することは難しくなる。競争を避けようとするのではなく、自ら変革を起こし、従来にはなかったモノやサービスを生み出す姿勢は重要性を増すことだろう。

来日客数の増加に伴い急拡大する白タク

 
 わが国では道路運送法により、自家用自動車を用いた有償の運送サービスを提供することは禁じられている。タクシー営業には第二種運転免許が必要だ。緑色のナンバープレートを付け、営業用として認められた車両を使うことも義務付けられている。そのため、白ナンバーの自家用車を使って送迎などを行い、対価を受け取るライドシェア(相乗り)は、原則として認められていない。

 ただ、一部に例外はある。国家戦略特区の京丹後市では、米ウーバーテクノロジーズのシステムを用いたライドシェアが運用されている。2015年4月からは過疎地域での移動手段確保のために、国土交通大臣の登録を受けたNPOなどが“自家用有償旅客運送”を提供することも認められてはいる。

 都市部では中国人の観光客と運転手がネット上で配車の依頼、料金の支払いをやり取りすることが増えている。ネット上で予約や支払いが完了するため、摘発は難しい。一方、中国からの観光客にとってみれば、言語やモバイル決済への対応など、白タクのほうが便利なことが多いだろう。違法であることを知らない人も多いはずだ。

 すでに、ライドシェアおよびタクシー配車サービスを手掛ける中国企業の滴滴出行(ディディチューシン)は、世界最大の配車サービス会社に成長した。中国の人々にとって、ライドシェアは“当たり前”のサービスとなってきたのである。

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