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国がタクシー業界を保護してウーバーを規制、国民にとって望ましいことなのか?

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授

収益チャンスのあるところ競争は不可避

 ライドシェアの解禁は、観光だけでなく、過疎化が進む地域での生活を支えるためにも役立つだろう。場所によっては、タクシーの配車に時間がかかることもある。それに比べ、目の前を走っている車を移動手段として使うことができるなら、より便利だ。それが、人々の満足感を高めるということだ。

 重要なことは、競争原理を発揮して、高い満足感を得られるモノ(プロダクト)やサービスを生み出すことだ。それが潜在成長率の引き上げには欠かせない。まさに、従来にはない発想を実現するなどの常識にとらわれない行動=イノベーションが求められる。

 この発想は、既存の事業を守ることとは根本的に異なる。タクシー業界は新しいサービスを生み出し、ライドシェアでは得ることのできない満足感(付加価値)を顧客に提供することを考えるべきである。実際に顧客から評価されれば、競争力は高めることができる。

 政府と既得権益層が従来の規制を重視し続けたとしよう。そのなかで、外国からの観光客や地方からの要請を受けてライドシェアが解禁されたと仮定する。従来よりも低い価格でサービスを利用できるなら、タクシーよりもライドシェアを選ぶ人は増えるだろう。イノベーションを起こすことができなければ、タクシー業界の競争力は低下するはずだ。

 このような低価格競争が進む結果、浮いたお金がその他の消費に回るのであれば成長率は維持できる。しかし、節約志向が高まると消費は減少し、経済は縮小均衡に向かう恐れがある。それが、シェアリング・エコノミーのリスクだ。それを防ぐためにも、これまでにはない新しい取り組みを進め、イノベーションを発揮することが不可欠である。

 ネットワーク技術の進歩と普及によって、従来にはなかったビジネスが短期間で成長するケースが増えている。国内外で、企業競争は加速するだろう。それに対応するためには、従来にはないサービスを生み出して顧客からの支持をつなぎとめるなど、自ら変革を進めようとする取り組みが欠かせない。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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