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西澤真生「仕事がデキる人の栄養マネジメント」

食事で性格が変わる?判断に差が出る?衝撃の実験結果が波紋…

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 被検者は山の特徴を知らされずに実験がスタートします。しかし、カードを引くうちに特徴をつかみ(学習)、「手持ちの疑似マネーを最大にする」という課題を達成すべく行動を変えていきます。この報酬を得ようとする学習過程に、ドーパミン系がかかわっているようです(実際には、もっともっと詳細な神経機構の研究成果があるのですが、ここでは割愛させていただきます。専門家の方々、ごめんなさい)。

食事の内容で性格や人生が変わる可能性も?


 さて、論文の話に戻ります。実験では、トリプトファンとチロシンの大型中性アミノ酸に対する比率の変化を時間ごとに表示しています。比率で表示するのは、脳への各種アミノ酸の入りやすさを示すためです。脳に物質が入るためには、血液脳関門を通過しなければなりません。

 大型中性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)は、共通の関門(アミノ酸トランスポーター)を通るので、比率が高いほうが脳に入りやすいことになります。

 高糖質群では食後のトリプトファン比は維持される(若干上昇)のに対し、高たんぱく質群では明らかに低下しています。一方、チロシン比は高糖質群では少し上昇した後に低下しているのに対し、高たんぱく質群では大きく上昇し、特にゲームの実施時間にピークに達しています。

 ゲームを実施する時間帯では、高たんぱく質群は高糖質群に比べてチロシン(ドーパミンの材料)が脳に入りやすく、トリプトファン(セロトニンの材料)が脳に入りにくい状態だったことがわかります。

 もちろん、脳内に入るアミノ酸量だけが神経活動を決めるわけではないでしょう。それまでのセロトニンやドーパミンの蓄積状態、ほかの神経の働きや個人個人が持っている性質などの複雑な作用が組み合わさった結果だと思います。

 それでも、この実験結果が示しているのは「食べ物が判断に影響することがあり、しかも、長時間にわたって影響が持続する可能性がある」ということです。私たちは毎日いろいろなものを食べていますが、それが行動や性格、さらには人生を大きく変えることもあるのではないでしょうか。

 そんなことを考えながら、みなさまが2018年を幸福に過ごされることをお祈りいたします。
(文=西澤真生/ひめのともみクリニック 医師)

【※1】
Sabrina S. et al. Impact of nutrition on social decision making. Proc Natl Acad Sci USA 2017;114:6510

【※2】
Brown GL, et al. Aggression, suicide, and serotonin: relationship to CSF amine metabolites. Am J Psychiatry. 1982; 139: 741-6.

【※3】
Crockett MJ, et al..Serotonin modulates behavioral reactions to unfairness. Science. 2008;320;1739

●西澤真生(にしざわ・まなみ)
略歴
東京大学医学部医学科卒業。東京大学附属病院分院4内科入局。
ボストンに3年間滞在後、細胞膜とタンパク質の研究およびクリニック勤務。

ひめのともみクリニック開院時より内科・栄養療法・栄養解析を担当、これまでに全国3000人以上のデータを解析し、オーソモレキュラー医学に基づいた糖質制限や栄養療法の普及に尽力している。

薬に頼らない医療を目指し、予防医療や病気の根本的な解決を目的に日々診療にあたっている。栄養療法を応用し、幅広い知識と豊富な臨床経験に基づいた総合内科的見地からの的確な治療は、患者さんをはじめスタッフからも絶大な信頼を得ている。

糖質制限食を基本とした食事療法による糖尿病・メタボリックシンドロームの治療、機能性低血糖症、男女更年期症候群、副腎疲労症候群、アレルギー疾患、禁煙外来など。

西澤医師の診察予約をご希望の方は、「ひめのともみクリニックHP」をご覧ください。

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