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江川紹子の「事件ウオッチ」第93回

サンフランシスコに続き、マニラでも慰安婦像設置 私たちはいかに前に進むべきか…江川紹子の提言

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 また、「賠償」という言葉は使っていないものの、アジア女性基金では、国民から募ったお金を原資にした償い金だけでなく、その国の状況に応じて医療・福祉支援事業を公金を拠出して行った。これは、事実上の賠償だ。ドイツが、ナチス時代に強制労働をさせたユダヤ人らに対して支払いを行った「記憶・責任・未来」より、金額のうえでも、受け取った後でも訴訟の権利を奪わなかった点でも、女性基金のほうが被害者に篤い。

 さらに、15年の日韓合意に基づいて、韓国側の「和解・癒やし財団」に10億円を拠出した。今年6月末の時点で、合意時点で存命していた元慰安婦47人のうち36人と、8割近くが受け取ったか受け取りを申請中と報じられた。

 このような実績を広く伝える方向で、政府は戦略を練り直すべきだろう。

 そして、できればこうした負の体験も後世に引き継ぐと共に、現在も日本国内を含めた世界のあちこちで起きている性被害の問題に取り組む姿勢を示してもらいたい。そうしてこそ、日本の好イメージは広がっていくと思う。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

●江川紹子(えがわ・しょうこ)
東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。
江川紹子ジャーナル www.egawashoko.com、twitter:amneris84、Facebook:shokoeg

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