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堀田秀吾「ストレス社会を科学的に元気に生き抜く方法」

無理やり笑顔&背筋伸ばし、イライラや気分の落ち込みを解消…体の動作が脳を支配

文=堀田秀吾/明治大学法学部教授
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身体が先、脳はあと

 初回である今回は、まず皆さんには大前提として、ある人間の特性をお教えします。それは、「身体が先で、そのあとに脳は考えてついてくる」というものです。この仕組みを上手に利用すれば、我々は簡単に「元気スイッチ」を入れることができるようになるのです。

 カリフォルニア大学のリベットらが行なった実験では、動作を行う準備のために脳に送られる信号が、動作を行う意識の信号よりも約350ミリ秒も早いということが明らかになりました。つまり、頭で考えたり心で念じたりするよりも、身体の動作するほうが先だったということが証明されたのです。

 もっとわかりやすく例えると、じゃんけんをするときに、パーを出そうと考えるより先に身体がパーを出しているということになります。パーを出す動作を感じて、脳が「私はパーを出す」と考えるということです。身体の動きを見て、心が反応するということは、身体の動きに脳は騙されるということにもつながります。

 心理学のとても有名な実験にこんなものがあります。割り箸やペンなどを口に横にくわえると、口角が上がった表情になりますよね? こうして無理やりにでも笑顔をつくると、脳はその動きを見て、「あ、私は今楽しんでいるんだ」と勘違いしてしまうのです。マンハイム大学のストラックらの実験では、こうしてマンガを読んだ被験者たちは、笑顔をつくらなかった被験者たちよりも、そのマンガを楽しいと感じたそうです。つまり、楽しいから笑顔になるのではなく、笑顔だから楽しく感じるということです。

 もうひとつ似たような事例をご紹介します。オークランド大学のネアーらの研究ですが、背筋を伸ばした被験者と背筋を丸めた被験者に、文章を読ませたり、ストレスの高まるスピーチ課題などをさせたところ、背筋を伸ばしていた被験者たちは、実験後、背筋を丸めていた被験者たちよりも、より高い自己評価で、気分も良く、恐怖心も少なかったそうです。

 うつ病患者の大半が背筋が丸まっているなどという観察結果もあります。男女を問わず、背筋が伸びて、凛とした佇まいはとてもかっこいいものです。

 また、ミラーニューロンという人の真似をする脳の仕組みのおかげで、あくびが他人に伝染するように、笑顔も他人に伝染していきます。笑う門には福来たるといいますし、幸運も呼び寄せてくれるはずです。このように、笑顔には、それによってもたらされる恩恵がたくさんあるということです。

 最近、なんとなく気持ちが高ぶらない、楽しく感じない、元気・やる気が出てこないと感じている方々、イライラしたり、忙しさに心奪われてついついしかめっ面になってしまっている方々、なんとなく漠然とした不安に苛まれている方々、ぜひとも笑顔で背筋を伸ばしてみてください。

 元気があれば、何でもできる!
(文=堀田秀吾/明治大学法学部教授)

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