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雇用保険、給付金を大幅削減で積立金6兆円に膨張…失業者にカネを払わない日本の失業保険

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 筆者は、ハローワークインターネットサービスに登録されている全国の求人件数を独自に記録しているが、それを見ると平成19年までは常時50~80万件あった求人が、平成21年7月には29万件まで減っている。平成29年11月末現在は130万件あるので、その4分の1以下だ。いかにリーマンショック不況が凄まじい雇用破壊だったかがわかる。

 もし、雇用保険のセーフティーネット機能が正常に働いていれば、失業給付への支出が急増し、積立金残高は大きく減っていたはずだ。ところが、現実がそうならなかったのは、失業給付への支出を極端に抑制する法改正が続けられたからである。

 チグハグの始まりは平成19年だった。保険財政は好調に推移していたにもかかわらず、国庫負担削減を狙って給付削減の大ナタが振るわれた。

 決定的だったのは、それまで自己都合でも6カ月以上だった受給資格期間(失業手当を受給するための加入期間)を1年以上(会社都合退職者のみ6カ月以上)と2倍にしたこと。これにより、給付を受けるためのハードルが一気に高くなった。

 タイミングの悪いことに、その翌年秋にリーマンショックが発生し、生活に困窮する労働者が急増した。とりわけ製造業において、「派遣切り」と呼ばれる非正規労働者の解雇や雇い止めが続出。当面の苦境をしのぐだけの蓄えがないうえ、雇用保険さえ受給できない労働者たちが着の身着のままで寮を追い出され、寒空の下に放り出されるニュース映像が連日流されたのは、まだ記憶に新しい。

失業手当の受給率は先進国最低水準


 国際労働機関(ILO)が平成21年に発表した調査によれば、失業手当を受給できない失業者の割合が日本は77%で、先進国のなかで最悪の水準にあると指摘された。その背景にあったのが、非正規労働者の急増である。

 雇用保険制度は長年、「1年以上加入見込み」という加入要件を維持していた。すなわち、短期契約で働く非正規労働者については加入手続きをしなくてもよいとされていたため、未加入者が増え続けた。そこに追い打ちをかけたのが、受給資格期間の改定だ。加入している人も、平成18年までは「6カ月以上勤務」すれば最低でも90日分の失業手当をもらえたのに、その頃には「12カ月以上勤務」していなければ、退職後に1円ももらえなくなっていた。

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