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超絶ブームの「そば助」、ガラガラの店が驚きの手法で「行列店」に?

構成=藤野ゆり/清談社
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超絶ブームの「そば助」、ガラガラの店が驚きの手法で「行列店」に?の画像1「そば助」の塩蕎麦

“究極の塩だし蕎麦”で人気の「そば助」は、どのように誕生したのか。

 12月30日付記事『空前の人気!究極の塩だし蕎麦「そば助」創業者、自己破産寸前から成功への壮絶人生』では、創業者の八木大助氏に話を聞き、塩だしが開発された経緯、自己破産寸前からの創業、オープン当初の苦難などについてお伝えした。

 その後、そば助が今のような人気店に成長するまでに何があったのか。再び、八木氏の話をお伝えする。

ガラガラでも行列店のように見せる、驚きの手法

――塩蕎麦に興味を持ってもらうために、どんな工夫をされたのですか?

八木大助氏(以下、八木) まず考えたのが、店の外に塩だしを入れた電気ポットと紙コップを設置し、試飲してもらう方法です。とはいえ、ただ置いておくだけでは誰も試飲してくれない。

 そこで、飲み終わった紙コップを捨てるビニール袋を常に8割ぐらいいっぱいにしておいたんです。女性が飲むと、紙コップに口紅の跡がついたりしますよね。それがあえて見えるように手前にしたりしました。

――なるほど。誰かが飲んだ形跡があると、安心して手を伸ばしやすくなります。

八木 これはかなり効果があり、多くの人が足を止めてくれるようになりました。店の前に部活帰りの高校生たちが集まって、塩だしと一緒に自分のおにぎりを食べ始めたり。「どんどん食べていいよ!」って言いましたよ。

 ほかにも、店の外にドラム缶を置き、そこで塩蕎麦を食べてくれたお客さんにはゆで卵を1個プレゼントするようにしました。そうすると、たとえ店の中がガラガラでも、まるで行列ができる人気店のように見えるじゃないですか。

――そうした人の興味を引くテクニックは、どこで学ばれたんですか?

八木 何かを参考にしたわけではありません。アイデアって、苦しいときにこそ生まれるんですよ。ドラム缶などは、まさにそう。お客さんが来ない時期だったからこそ思いついた。もし裕福になったら、この感覚はボケてしまうと思いますね。

――ハングリー精神ですね。

八木 そう。これからのし上がろうとするボクサーと同じで、商売はハングリーでなければダメなんです。僕が料理の参考にするのは、フレンチやイタリアンなどの異なるジャンル。同じ蕎麦屋を参考にしたことはありません。同じジャンルを参考にしても、結局は似たようなものにしかなりませんから。

2号店で億単位の借金、転機はメディア戦略

――そうした戦略によって、その後、経営が上り調子になっていったんですね。

八木 それが、全然そんなことないんですよ(苦笑)。稲荷町の1号店が軌道に乗ってきたため、また調子に乗って北千住に2号店を出したら、「塩だし蕎麦? 何それ」と、1号店と同じ状況になってしまって。毎月200万円の赤字でした。あっという間に借金が膨れ上がり、億を超えてしまいました。

――今度は、どうやってその状況を変えたんですか?

八木 北千住店では、店の前に大きなウルトラマン人形を置き、お母さんやお子さんが足を止めてくれるように工夫しました。「ウルトラマンに触るといいことがあるよ」と言ってみたり……。あとは、やっぱりメディアへの露出ですね。

――メディアの取材を積極的に受けるようにしたということですか?

八木 ただ、最初はそこに気がつかなかったんです。今でこそ多くのメディアに取り上げていただいていますが、当時はいっさい取材がこなかった。考えてみるとそれも当然で、最初の頃は営業電話がうるさいので、店に固定電話を置いていなかったんです。

――電話が頻繁にかかってきたら仕事になりませんからね。

八木 そこで電話を設置すると、一気に取材依頼が殺到。当たり前の話かもしれませんが、やっぱりメディア露出の威力はすごいものがあります。テレビで取り上げていただいた翌日に、わざわざ仙台から食べにきてくださった方もいました。メディア露出を増やしてからは、業績が一気に上向きましたね。

――とはいえ、中身が伴わないと、メディア効果でお客さんが来ても一過性のブームで終わります。それ以外に成功の秘訣があったと思うんですが?

八木 成功の秘訣というほどではありませんが、僕の場合、常に「お客様を喜ばせたい」「驚かせたい」というサプライズを意識しています。たとえば、そば助では店オリジナルの「激辛・ゴマ唐辛子」や「ニンニラたれ」を置いているんですが、これは最初はそのまま、次に来たときは味に変化をつけて楽しんでもらいたいからです。

――メニューにも、さまざまな変化が見られます。

八木 たとえば、ラー油を使った「ラーそば」や「クリーミーカレーつけそば」、さらには「最強TKG(玉子かけご飯)」など、究極の塩だし蕎麦以外にもサプライズ感のあるメニューや見た目のインパクトにこだわっています。頭の中にあるのは、いつも「お客様を飽きさせない」「世の中にないものをつくりたい」という思いです。僕は「蕎麦界のチャンピオン」になりたいんです。

――ありがとうございました。

 八木さんによれば、そば助には今、海外からも出店のオファーが来ているという。日本の伝統食に“塩蕎麦”という革命を起こしたそば助が、近い将来「蕎麦界のチャンピオン」になる日が来るかもしれない。
(構成=藤野ゆり/清談社)

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

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