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国民の命を危険に晒す三菱財閥…不正を正当化する「組織内論理」

文=編集部
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三菱金属出身者が人事を握る

 三菱マテリアルは1990年、三菱金属と三菱鉱業セメントが合併して誕生した。三菱鉱業セメントの前身である三菱鉱業は、三菱財閥の主要会社で炭鉱を経営していたが、石炭の斜陽化ととともに石油販売、建材、セメントに進出した。

 三菱鉱業セメント社長の大槻文平氏は、日本経営者団体連盟(日経連、のちに経団連と合併)の会長を務めるなどした財界の大物。三菱鉱業セメントは三菱グループの中では三菱金属より格上だった。しかし、その後、三菱マテリアルでは力関係が逆転する。

 初代社長の藤村正哉氏は三菱鉱業セメント出身だったが、2代目から現在の6代目の竹内章社長に至るまで、いずれも三菱金属の出身だ。

 不正把握から出荷停止までに8カ月かかった三菱電線は12月1日付でトップを更迭した。生え抜きの村田博昭社長が代表権のない取締役に退き、親会社の三菱マテリアルの高柳喜弘執行役員が新社長に就任した。村田氏は、この問題の原因究明にあたる。

 三菱マテリアルは10年、上場企業だった三菱電線を完全子会社にした。当初は、三菱金属出身で三菱マテリアル副社長の本間久義氏を社長に送り込んだ。社員のモチベーションの向上が大事だとして16年4月、技術系で生え抜きの村田氏をトップに据えた。ところが、スキャンダルが起こり村田氏は事実上、解任された。

 三菱伸銅も上場会社だったが08年、三菱マテリアルが完全子会社にした。13年から三菱金属出身の堀和雅氏を社長に送り込んでいる。堀氏は10月18日に問題を把握後、同日のうちに出荷を停止、19日に親会社の三菱マテリアルに報告した。その迅速な対応が評価され、現時点では“お咎めなし”なのである。

 三菱アルミニウムは16年に浜地昭男氏が社長に就いたばかり。浜地氏は三菱鉱業セメントの出身。浜地氏の前任は三菱金属出身の半沢正利氏だった。三菱鉱業セメント出身者としては、三菱アルミニウムの社長の椅子はぜひとも死守したいところだろう。

 結局、三菱電線の村田氏の退陣で幕引きをはかり、三菱金属出身者によるグループの支配が強まることになるとみられている。

 三菱マテリアルは金属、セメント、超硬工具などの加工事業、電子材料の4つの社内カンパニーがある。神戸製鋼所の時も指摘されたことだが、本社(ヘッドクオーター)では各カンパニーの問題点の把握は難しい。外部から見れば倫理に反する行為はやってはいけないことはすぐにわかるが、“組織内の論理”でいつしか不正が合理的と判断されてしまう。企業風土や、部下の上司に対する“忖度”が不正を生み出し、拡大していったとみられる。

 三菱マテリアルは12月1日付で、2人の社外取締役など5人で構成する特別調査委員会を立ち上げ、不正の事実関係や原因の究明を行い、グループ全体の再発防止策を策定するという。

 加えて品質管理の専門部署、「品質管理部」を新設したが、むしろ今まで本社に品質管理部がなかったことに驚きの声が上がっている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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