――しかし、広告では「50万円」などと明示されているにもかかわらず、車庫証明などの諸経費がかかり、結果的に総額は広告表示よりも高くなることが多いですね。

中村 そうですね。たとえば、購入後のクルマを保管する場所を決める必要があります。その際、手書きで地図を書くことになるのですが、カスタマーからすれば面倒な作業です。そこで、販売店が地図作成を代行するケースが多いのですが、そういった費用などが積み重なり、最終的な購入価格が高くなります。

 しかし、たとえば広告では50万円だったクルマの料金が結果的に上がることで、「話が違う」というクレームや中古車業界に対する不信感につながってしまいます。

――本体価格と総額がこれだけ乖離している業界も珍しいと思います。よく、メスを入れましたね。

中村 私が入社した08年当時、「カーセンサー」における総額表示率は20%でした。しかし、カスタマーから「広告では50万円なのに、総額を見積もったら手数料込みで90万円になった。これはおかしいのではないか」といった声がすでにあがっていました。カスタマーからすれば、本当に知りたいのは総額ですからね。

 こういったカスタマーの声を受け、総額表示率を向上させる取り組みとして、09年に「カーセンサーnet」のアルゴリズムを改変し、総額表示されているクルマが上位に表示されるように設定しました。

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 しかし、販売店とすれば、本体価格にさまざまな庶務手数料を上乗せして利益を確保するというビジネスモデルです。そのため、さまざまな意見をいただきました。なかには「私は賛成だが、他社の販売店が総額表示をしないと正直者がバカを見る。あまり意味がないのでは」という声もありました。

 しかし、業界内にも「総額表示をしたほうが、結果的には効果が高い」という認識が徐々に浸透してきて、今では総額表示率は80%まで上がっています。カスタマーにとって透明性の高い業界になったのではないかと思います。

――ありがとうございました。

 後編では、「若者のクルマ離れ」や「カーシェアリング」などについて、さらに中村氏の話をお伝えする。
(構成=長井雄一朗/ライター)

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