NEW

今、もっとも危険な大企業リスト5

文=北沢栄/ジャーナリスト
【この記事のキーワード】

, , , , ,

悪質さが際立つ、神戸製鋼所の不正

 神戸製鋼所の場合は、不正の悪質さにおいて際立つ。アルミ・銅製品などの品質検査データ改ざんをめぐり、ついに一部製品が日本工業規格(JIS)の認証を取り消された。改ざんは40年ほど前から行われていたという。同社は12月、アルミ・銅事業を担当する3人の執行役員を担当から外す処分を行った。3人は不正を知ったのに隠していたことが外部調査でわかり、責任を取らされた。組織ぐるみの不正・隠蔽行為と見られても当然だろう。

 同社は2008年に子会社で、16年にもグループ会社で今回と同様の品質データ改ざん・偽造が発覚している。国際的な影響も計り知れない。自動車、航空機、高速鉄道車両など、人命にかかわる製品に同社の部材が広く使われているからだ。

 余波は、原子力発電所の再稼働にも及んだ。大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働を福井県知事が認めた直後の11月末、関西電力は当の3、4号機、九州電力は玄海原発(佐賀県)3、4号機の再稼働を、それぞれ2カ月延期すると発表した。神戸製鋼の部材を新設備に使ったため、安全性の確認を迫られたのだ。

 今後は、安全性への影響を理由に納入先からリコール措置を要求されるばかりか、補償費請求や損害賠償請求訴訟を起こされる可能性も出てきた。米司法省は神戸製鋼に報告書提出を求め、調査を開始した。

 同社は、18年3月期決算について「未定」にすると発表した。事件前は3年ぶりの黒字転換を見込んでいたが、一連の不正で見通しは暗転したのだ。今や、企業の存続が危ぶまれる事態となった。

8カ月も不適合品を出荷していた三菱マテリアル

 続いて、三菱マテリアルと東レ、双方の子会社で発覚した品質検査データ改ざん問題。社内で不正を把握後も、三菱が9カ月、東レが1年4カ月にわたり公表しなかった。三菱はこの間、8カ月にわたって不適合品を出荷した。1年あまりも沈黙していた東レが公表に踏み切ったのは、インターネットへの書き込みがあったからだ。

 東レに至っては、重要情報が経営トップに上がっていない。日本経済団体連合会(経団連)会長を務める相談役の榊原定征氏が三菱マテリアルの不祥事に関し、記者会見で「発覚した時点で公表するのが原則」と述べた発言後に、東レ自らの不正を榊原氏は社内から知らされる。

 三菱はゴム・銅製品などで検査不正を行い、出荷先は航空・宇宙や自動車、電子機器メーカー。東レはデータ不正の自動車用タイヤ補強材などを自動車関連メーカーに供給した。内外への影響は大きい。両社とも、製品の安全性に問題ないというが、ガバナンスのひどい欠落を見せつけ、信頼性を損なった。
(文=北沢栄/ジャーナリスト)

RANKING
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合