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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

あんぱん有名な木村屋総本店、袋パン事業が「捨てる経営」でV字回復

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福永暢彦・木村屋総本店副社長:1968年生まれ、滋賀県出身。神戸大学経営学部卒業後、大手生命保険会社、業務改革コンサルティング会社にてキャリアを積む。2011年1月より、株式会社企業再生支援機構にて、中堅印刷メーカーの再生に構造改革責任者(CRO)として従事し、再生経営者としてのキャリアをスタートさせる。13年4月より、株式会社経営共創基盤に参画し株式会社木村屋総本店に経営者として派遣され、13年10月に代表取締役副社長に就任。17年4月に株式会社木村屋総本店に転籍する。「強みのある領域にフォーカスする」「仕組み・基準・手順に基づいて行動する」ことを信念とし、創業149年老舗企業の一層の発展に取組中。

 明治の初めに創業した老舗、木村屋総本店副社長の福永暢彦氏は、外部から送り込まれた経営者だ。従来のやり方に慣れ親しんだ社員たちや業界慣習と向かい合い、この老舗を見事によみがえらせた。回復フェーズを通過し、成長フェーズをうかがう福永氏に、これまでの苦闘とこれからの展望、戦略を聞いた。

木村屋総本店の売上構成の中心は袋パンだった


――木村屋といえば、あんぱんで知られています。

福永暢彦氏(以下、福永) 木村屋というと東京・銀座4丁目にある、あんぱんで有名な銀座木村家が知られていますが、木村屋総本店と同じルーツの別の法人であり、事業内容や主力の商品なども異なっています。

――そうなんですか? でも貴社でもあんぱんを扱っています。

福永 木村屋総本店のスーパー・コンビニエンスストア向けの事業では、袋パン向けに独自に開発設計したあんぱんを、埼玉と千葉にある工場で製造しています。当然、あんぱんの老舗をルーツとする企業として、こだわりの生地とこだわりの餡を使用した、大手メーカーとは差別化した袋パンのあんぱんです。

――現在の事業構成をご説明いただけますか。

福永 木村屋総本店には、デパートなどで伝統的なあんぱんを中心に販売している「直営店事業」と、袋パンを製造・販売している「スーパー・コンビニ向け事業」に大きく分かれており、後者が売上全体の80%を占めています。

――福永さんは木村屋総本店には外部から5年ほど前に着任なさったのですね。外から来てみてパン業界の難しさは、どのようなところでしょうか。

福永 一番の特徴は日配(にっぱい)業だということですね。前日までに受注した一定のボリュームを、翌日の決められた時間までにはスーパーやコンビニの店舗に届けなければなりません。物流は時間がタイトで待ったなしの状態であり、受注から納品までのリードタイムが短く生産計画がとても立てにくい状況にあります。

 袋パンの場合、消費者が製造メーカーを認識しづらいほど類似品が溢れかえっていて、パンメーカーは数が多いので競争が激甚です。近年、コンビニ向けにはパン専業ではない食品メーカーがパンを提供したりして、新規プレーヤーの参入も続いています。もうひとつ特徴を挙げると、小売りの力がとても強い、言い換えると、メーカーサイドの提案力がとても弱いということです。

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