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【はれのひ事件】悲惨な着物業界…売上8割減、客の代金踏み倒し横行で損失1000万円の店も

文=小川隆行/フリーライター
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 短大に通っている女性であれば、成人式は卒業間近で何かとお金が必要な時期だ。また、一人暮らしの場合は10万円でも大金だろう。晴れ着を着るという夢を叶えてしまえば支払うはずの料金は引っ越し代にでも充てるのか、そのまま“ドロン”してしまうケースが少なくないようだ。

「そうした損失金がいくらあるのか、先日調べたら四半世紀で1000万円を超えていました」(同)

 同店と提携する写真館の代表者は、次のように語る。

「撮った後でお客様が引き取りに来ない記念アルバムが、もう50冊ぐらいたまっています。撮影が終わると『なくてもいいや』となるのでしょう。頼まれればお客様のスマホでも撮ってあげますが、ご家族と一緒でない単独撮影の場合、最近はやんわりとお断りさせていただいています」(写真館の代表者)

「一番怖いのは、呉服業界の信用失墜」

 前出の呉服店社長が、ため息まじりに漏らした。

「今回の件は本当に許せませんが、一番怖いのは私たち呉服業界の信用失墜です。業界全体が悪く見られてしまうと『いい加減な業界になんか、お金を払わなくていい』と思われてしまいかねません。そうした貸し倒れが増えるのは困りますし、だからこそカード決済の導入も考えなければならないのです。

 しかし、先代社長の口癖が『金を追いかけるな。金は後からついてくる。まずは商品知識を頭に入れ、相手の身になって商いをせよ。そうすればお客様は気分良くご利用してくれる』でしたので、今も(決済導入を)迷っています」(呉服店社長)

 このような良心的な呉服店すら困らせてしまうほど、はれのひの騒動は悪質だったということだろう。

 直系家族が和服に身を包み、記念日に一家でささやかに過ごす。そんな原風景こそ日本の古き良き伝統文化だったが、核家族化が進み洋服が当たり前となった昨今、和文化の世界にも「カードローン」「クーリングオフ」「キャンセル」「スマホ」といった英単語が当たり前に飛び交う……。こうした状況も伝統文化の衰退に拍車をかけている、とするのは言い過ぎだろうか。
(文=小川隆行/フリーライター)

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