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解約強要疑惑のレオパレス21、所有者が集団訴訟…1億超返還要求、一括借り上げの罠

文=小林紘士/不動産ジャーナリスト

「30年一括借り上げ」以外にも問題点

レオパレス21のような、アパート建設から請け負い、完成後の一括借り上げまで行う事業者では、建設の時点で相当の利益を上げていることも特徴的である。

 たとえば、建設費2000万円程度でも十分利益が取れる木造アパート一棟の建設を、4000万円程度で土地のオーナーから請け負い、最初の時点で2000万円以上の利益を上げるのである。特に、ほぼ同じ仕様のアパートを数多く建てるような事業者の場合、同じ規格で大量に発注できるため、建築コストは非常に安く抑えることができる。それを一般的なアパートより高い建設費で請け負うのだから、土地のオーナーにしてみれば相当高い買い物をさせられていることになる。

 また、この建築請負で得た利益の一部で、数年間の借り上げ費用(オーナーに支払われる家賃)が捻出されていると考えれば、オーナーは自分で支払ったお金の一部が返ってきているにすぎないともいえる。

 実際に以前、神奈川県小田原市の土地オーナーから、ある一括借り上げ型のアパート経営を提案する企業からの見積もりを見せてもらったことがある。その建築費は相場から見ておおよそ2倍の建築費だったことを鮮明に覚えている。

 また、その時見た提案では、当時土地付きの建売アパート(土地と建物を一括して購入するアパート)投資でも表面利回り(年間の家賃収入÷土地建物の売買価格)8%で購入できる時代に、土地はオーナーの所有で建物のみ建設する提案にもかかわらず、表面利回り(年間家賃収入÷建物建築費)が8%という提案だったことも強く印象に残っている。土地代のかからないアパート経営であれば、12%以上の提案になっていてもおかしくないのにである。

修繕費用も搾取か

 まだほかにも問題がある。レオパレス21については17年8月にも、借り上げしているアパートの管理上の問題で訴訟が起こっている。借り上げ中のアパートについては、そのアパートの管理についても請け負うことが多く、その管理面でトラブルが起きたのだ。

 17年8月29日、レオパレス21が契約通りに修繕を行っていないとして、静岡、岐阜、愛知、三重各県にアパートを所有する29人が、修繕契約の無効と支払った修繕費計約1億4700万円の返還を同社に求める訴訟を名古屋地裁に起こした。

 各オーナーと同社は、アパートの一括借り上げ契約を締結し、別途締結した修繕契約に基づき、同社が各オーナーから月額10万円前後の修繕費を賃料から差し引くかたちで徴収。オーナー側は、屋根の塗り替えなど一定期間に決められた修繕がほとんど行われていないと主張している。

 上の内容を細かく見れば、29人が1億4700万円の返還請求を行っていることから、1人当たり平均506万円。月10万円前後の修繕費とあるので、実に1人平均50カ月以上も搾取されていたことになる。もちろん、あくまでも返還請求された金額を平均しただけなので、人によってはそれ以上の長期間あるいは高額になるまで我慢していたオーナーもいると思われる。

 実際、同社に限らず多かれ少なかれ建物の修繕に対して頻度や実施内容と比べて契約上の金額が「取りすぎ」と感じられる賃貸管理会社は結構見受けられるが、それでも強くオーナーが要求すれば、多少金額の追加はあっても修繕の対応はするはずである。ところが、レオパレス21の場合は、オーナーが要求しても応じないからこそ訴訟になったのである。かなり悪質なケースと言わざるを得ない。

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