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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

シニア婚、経済的メリット大?長い老後、本当に「結婚はコスパ悪い」と言い切れますか?

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
シニア婚、経済的メリット大?長い老後、本当に「結婚はコスパ悪い」と言い切れますか?の画像1「Thinkstock」より

 以前、本コラムで熟年離婚の現状とお金について取り上げた(1月3日付記事『突然に夫を襲う「熟年離婚」増加、資産も家も失い賃貸暮らし…超重要なお金の話』)。その後も「離婚を考えているのですが……」という相談を受けることが少なくない。ところが、熟年離婚した方が再婚する「シニア婚」も増えているという。

 結婚16年目の筆者にしてみれば、結婚は一度きりで十分と思っているのだが、やはりメリットがあるのだろうか?

 今回のコラムでは、とくにシニア婚の経済的側面に着目してオトクかどうかを検証してみたいと思う。

世帯構造が激変、日本の標準世帯=“おひとりさま”

 今や、わが国の世帯で最も多いのは単独世帯、つまり“おひとりさま”である。総務省の「国勢調査」(2015年)によると、一般世帯数を家族類型別に見た場合、「単独世帯」(世帯人員1人の世帯)は34.6%を占め、「夫婦と子どもからなる世帯」(26.9%)や「夫婦のみの世帯」(20.1%)よりも多い。

 単独世帯の割合の伸びは著しく、2010年から比べると9.7%も増加。この年から夫婦と子どもからなる世帯と割合が逆転し、いわば“おひとりさま”が今の「標準世帯」という状況が続いている。

 そうなると、50歳まで一度も結婚したことがない人の割合(生涯未婚率)も増加傾向にあるのは当然ともいえる。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、2015年に男性約23%、女性約14%と過去最高を更新。10年の前回調査から男女とも3ポイント以上増えている。いわば、男性4人に1人、女性7人に1人が該当するわけだから、既婚者のほうが少数派という環境もあるかもしれない。

「事実婚」「通い婚」など、さまざまなスタイルのシニア婚

 そんななか、これら初婚組も含め、死別・離別等した人が新たなパートナーを求めるシニア婚活が活況だ。インターネットで検索すると、中高年層向けの結婚情報サービスや婚活パーティーが目白押し。出会いを求めるシニアの多さが窺える。

 厚生労働省の「人口動態統計」によれば、2000年頃から50歳以上で婚姻届を出す人が急増しているという。シニア婚が増えた要因として、皮肉なことに07年4月に年金分割制度が施行され、熟年離婚が増えたことも挙げられるようだ。

 念願かなって離婚できたのは良かったものの、分割された年金の額が意外に少なく、これでは長い老後を乗り越えていけないと考える人が多かったということかもしれない。

 最近は、入籍を伴わない「事実婚」や住環境を変えない「通い婚」など形態はさまざまだという。安らぎといった精神的充足や経済的安定、将来の介護や身の回りの世話など、シニア婚に求めるものは三者三様だろう。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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