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【はれのひ事件】着物業界の「浮世離れした」常識…100万円も前払い、2年前から予約

文=A4studio
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本人よりも家族のこだわりが強い場合に高額になる傾向

 また、はれのひ被害者のなかには、総額で100万円以上もの高額な支払いを済ませていた例もあった。そんな大金が動くわけを、Bの従業員は次のように推察する。

「当然、振袖自体の価格は質によって大きく変わります。シルクにポリエステルやナイロンといった化学繊維が混ざっている安価な振袖もあり、ブランドや生地の質よりも流行や好みの柄・色に重きを置いている方々は、そういったリーズナブルな振袖を選ぶ傾向があります。また、そもそも振袖の質にこだわらないお客様は、購入ではなく写真撮影代なども含めて20~30万円が相場のレンタル一式で済ませる方も多いです。

 ただ、一生に一度の晴れの舞台ということで、新成人本人よりもご家族が振袖のランクを気にするケースもよく見かけます。特に祖父母の方々から、『日本製のシルクが使われているのか?』といった質問をされることもあります。お金を支払うのは、新成人本人ではなくご両親や祖父母であることが大半ですから、こうしたこだわりのあるご家族の場合は、レンタルではなく購入される傾向があります。

 そして有名なブランドや質のいい振袖を購入するとなれば、新成人のサイズに合わせて振袖を形成する“仕立て”は専門の職人が手作業で行うため、振袖代とは別に十数万円かかる場合もあります。このような事情から、総額100万円以上になることも珍しくないのです」(着物専門店B・従業員)

 手描き友禅や日本製シルクを使用した振袖は高価な値が付くとされているが、生地に柄をプリントできる技術も進歩していることから、着物に詳しくない人が見た目だけで価値を見極めるのは困難だという。そのため、そのような安価な振袖を、高額で売りつけられるケースも起きている。

 はれのひが取り扱っていた振袖がどういった品質だったかは不明だが、和装に触れる機会が少なくなり、目利きができない人が増えているため、そういった詐欺まがいの販売が横行しているのだろう。

 いずれにしても、かわいい我が子や孫を祝ってあげたいという新成人の家族たちの思いが、皮肉にも被害を大きくしてしまった可能性もある。
(文=A4studio)

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