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JT、安倍政権で財務省の「天下り」復活…揺らぐ経営の独立性

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海外M&A組が社長の登竜門

 新社長になった寺畠氏は、民営化後のJTに入社した世代だ。この世代から初めて経営トップに就く。

 同氏は広島県出身で、1989年に京都大学工学部を卒業してJTへ入社。在籍28年のうち12年強を海外で過ごした。30代前半には経営企画部のメンバーとして米RJRナビスコから米国事業以外の海外のたばこ事業、RJRIを9420億円で買収したディールに携わった。執行役員を経て13年に取締役、JTインターナショナル副社長に就いた。

 JTでは海外M&Aを担当することが社長への登竜門となっている。寺畠氏はそのコースを歩み、40代で次期社長候補と目されてきた。JTは計3兆円以上を投じた海外M&Aでグローバル企業に転身した。

 JTによるRJRI買収は、総責任者が4代社長になった本田氏、実務執行責任者は5代社長の木村氏。さらに、6代社長の小泉氏と7代社長に就く寺畠氏が買収プロジェクトのチームに加わっていた。

 RJRIの事業を母体に、JTの海外事業を統括するJTIが設立された。

 一連のM&Aで主導的役割を担ったのが木村氏だ。社長時代に英ギャラハーを2兆2000億円で買収した。12年、木村氏は会長に就き、社長、会長とも生え抜きという体制になった。しかし、財務省の巻き返しで、この体制は長く続かなかった。14年6月、木村氏は会長を退き、後任に丹呉氏が天下ってきた。

 木村氏は“完全民営化”を悲願としてきた。JTの筆頭株主が国(名義上は財務大臣)ということと、国内葉たばこ農家を抱えていることで、社員の多くは「潰れることはない」という安心感に浸っている。官公庁と同じで緊張感はなかった。

 JTの“お役所体質”を克服し、経営のフリーハンドを得るためにも、完全民営化はぜひとも実現しなければならない経営課題だった。

 13年3月、政府は東日本大震災の復興財源のためJT株式の一部を売却した。それでも財務大臣が33.35%(17年6月中間期)を保有する筆頭株主であることに変わりはない。

 JTの16年12月期の営業利益5933億円のうち、海外たばこ事業は56%を占める。しかし、健康志向の高まりを受けて、17年の国内紙巻きたばこの販売数は13%も激減する見込みだ。加熱式たばこで巻き返しを図っているが、国内事業の大幅な減益は避けられない。

 そのため、海外事業への依存度が一段と強まることになるだろう。

「グローバル企業」JTIと「ドメスティック企業」JT――。双頭のモンスターとしてJTグループは今後も存在し続けることになる。

 そのアンバランスの象徴が、天下りの慣行だ。
(文=編集部)

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