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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

あんぱん有名な木村屋総本店、袋パン事業が営業担当者半減でも売上が変わらないワケ

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

あんぱん有名な木村屋総本店、袋パン事業が営業担当者半減でも売上が変わらないワケの画像3新製品ブリオッシュ風クリームパン。マーガリンやショートニングが不使用。

――私も経営者のときにやりましたが、そういう変革は古手社員にとても評判が悪い。やる前は信じてもらえない。

福永 そうなんです。製造粗利や主要なKPIなどの数値結果が劇的に向上しています。基準・手順に沿った標準化された作業を導入した結果、製造ロスは半分に低減し、製造粗利は5%以上改善しています。加えて、従来の半数の営業担当者で、以前と同規模の売上を維持することもできています。

――大成果ですね。外部から来た経営者のほうが、こういう場面では強いです。

福永 基準・手順に基づく製造が、実は強み・こだわりを強化するために必要なことだという理解度を上げるために、日本酒の獺祭(だっさい)の製造方法や無印良品の店舗運営をモデル事例として、幹部社員と共有してきました。

 獺祭の醸造元、旭酒造さんも職人技に頼らず、誰でも同じ仕上がりに仕込めるように醸造法を基準・手順として進化させたと聞きました。無印良品さんは、顧客サービスや陳列について基準・手順などのルールを決めて、いわばスーパー店長は不要だという状況をつくり上げてきました。当社もパンづくりにおいて、いつ、誰が担当でも美味しく仕上がるような状態を目指しています。

福永 社内ではまだ抵抗は少し残っていますが、私は一日に30万個前後ものパンを製造する「袋パンの中量生産」においては「職人技はいらない」と呼びかけています。その代わりに、「キムラヤスタンダード」をつくって、それを遵守してもらうようにしています。基準・手順に沿うことが、美味しい袋パンにつながっていることを理解してもらうためです。

――キムラヤスタンダードとはどんなことですか。

福永 「品質作りこみスタンダード」「開発・販売スタンダード」そして「行動スタンダード」という3つの認識・行動をモノサシとする考え方です。「品質作りこみスタンダード」としては、食品業界でNo.1の品質作りこみを実行する。「開発・販売スタンダード」では、当社の強みにこだわった開発・販売を実行する。そして「行動スタンダード」においては、私が正しいと考えるビジネス上の5つの価値観にしたがって行動することを求めています。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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