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小室哲哉の不倫釈明会見、自らの潔さに自己陶酔…自己イメージ毀損を許せないナルシシスト

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小室哲哉

 音楽プロデューサーの小室哲哉さんが19日、都内で記者会見を開き、不倫疑惑が報じられた看護師との男女の関係を否定したが、「僕なりのけじめとして引退を決意しました」と発表した。

 ナルシシストらしい身の処し方だなあというのが正直な感想である。18日発売の「週刊文春」(文藝春秋)の取材を受けてから、小室さんは次のような葛藤に悩んだのではないか。

「献身的な愛妻家という自己イメージを守るために、あくまでも看護師との男女の関係を否定したい。だが、そうすると、『文春』の第2砲が出て叩かれ、自己イメージに傷がつくかもしれない。それには耐えられない。一体どうすればいいのか」

 悩んだ末に、引退という苦渋の決断をしたのだろうが、このような葛藤にナルシシストほど悩む。というのも、ナルシシストは何よりも自己イメージの傷つきを恐れ、そういう事態をどうにかして避けようとするからだ。

ナルシシストの本領発揮


 徹頭徹尾いかに自分が大変な状況にあるかをアピールした会見という印象も受けた。これは、次の2つの理由によると考えられる。まず、介護と仕事における苦悩や健康面の不安を訴えれば、世間が同情し、メディアも追及の手をゆるめるのではないかという思惑があっただろう。つまり、弱さを武器にしたわけで、ナルシシストがしばしば用いる戦略である。

 だが、それだけではない。ナルシシストは自分自身にしか興味がないので、たいてい自分のことしか話さない。その点でも、ナルシシストの本領を発揮した会見だったように筆者の目には映る。今回の決断を潔いと見る向きもあるようだ。もっとも、小室さん本人が自らの潔さに自己陶酔しているように見えて、正直なところ興醒めした。2016年に妻の出産直前の不倫を「文春」で報じられ、衆議院議員を辞職した宮崎謙介氏と同様に、ナルシシストの打たれ弱さが身を引く決断につながったにすぎないと筆者は思う。

才能の枯渇を隠蔽するには渡りに船


 うがった見方をすれば、不倫騒動の責任をとるかたちでの引退は、才能の枯渇を隠蔽するには渡りに船だったのではないか。こんなことを書くと、ファンやスタッフの方々からお叱りを受けるかもしれないが、最近の小室さんは、かつてのようにヒットに恵まれているわけではない。もちろん、嗜好の多様化やCD不況などの影響もあるのだろうが、そういう要因を考慮しても、小室さんが全盛期ほど売れていないのは一目瞭然である。

 そのことは本人も感じていたはずだ。もしかしたら、才能の枯渇にも薄々気づいていたかもしれない。しかし、彼のナルシシズムの核心にあるのは才能であり、才能の枯渇を他人に知られることは耐えがたかっただろう。だから、それが露呈する前に、今回の騒動を契機に引退を発表した可能性も否定できない。

ベートーヴェンにはなれなかった


 小室さんは、会見のなかで「2017年の夏前、突発性難聴に近い状態になりまして、今も左の耳がほぼ聞こえないです」とも告白した。

 難聴に悩んだ作曲家といえば、真っ先にベートーヴェンが脳裏に浮かぶ。「仮に彼に聴覚がちゃんと備わっていたとしたら凡庸な存在で終わっていたのだろうか」という疑問を、作曲家の三枝成彰氏は『大作曲家たちの履歴書』で投げかけている。三枝氏は「ハンディキャップがなくとも、後に楽聖と賛えられるだけの作品をものにしていたに違いない」という見方には否定的で、聴く者を圧倒する迫力に満ちた「あの激しい音は、ベートーヴェンの乏しい聴覚が生んだものだったのである」と述べている。

 ベートーヴェンは、難聴というハンディキャップをマイナスのまま終わらせず、逆にそれをバネにして名曲を次々と生み出した。しかし、小室さんは、ベートーヴェンにはなれなかったようだ。その最大の原因は、ナルシシストの打たれ弱さではないだろうか。
(文=片田珠美/精神科医)

【参考文献】
三枝成彰『大作曲家たちの履歴書(上)』(中公文庫)

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