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江川紹子の「事件ウオッチ」第95回

【オウム裁判終結】事件の教訓を次代へ引く継ぐためにーー弟子12人の死刑執行について江川紹子の提言

文=江川紹子/ジャーナリスト
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 そうした事情を鑑みて、同時執行にはこだわらず、まずは教祖一人の執行とすべきだ。ちなみに、松本死刑囚はすでに4度目の再審請求中と聞く。

 その後については、この問題に関わってきた者としての願望を言わせてもらえば、弟子12人をすべて死刑執行するべきかどうか、ここで再考してもらいたい。

 というのは、弟子たちのなかには、深い反省の中にあって、自身の体験を若い世代やテロ対策の専門家に情報提供してきた者もいる。社会の中でオウム事件の教訓が十分に伝えられておらず、世界各地でさまざまなテロ事件が起きている現在、日本でもこうした無差別テロの再発が懸念されるなか、彼らを生き証人として活用し、一生奉仕させるほうが社会にとってはプラスではないか。

 ただ、死刑囚ではそうした活動に従事させることができない。恩赦等の措置で事実上の終身刑へ減刑できる者がいないかも、検討してみたらどうか。

 弟子たちに対しても早い死刑執行を望む被害者遺族もおり、容易ではないことはわかっているが、事件を風化させず、再発を防ぐ目的であれば、理解して下さる方もあろう。法務当局にはあえて検討を促したい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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