
2017年12月、住宅金融支援機構が2つの調査結果を公表しました。『2017年度 民間住宅ローン利用者の実態調査<民間住宅ローン利用者編>(第1回)』(以下『利用者編』)と『2017年度民間住宅ローン利用者の実態調査<民間住宅ローン利用予定者編>(第1回)』(以下『利用予定者編』)です。
実際に住宅ローンを利用してマイホームを取得した人と、これから住宅ローンを利用してマイホームの取得を予定している人が対象なのですが、ここから住宅を取得する上での住宅ローン利用の問題点などが浮き彫りになってきます。
希望は全期間固定金利型でも実際は変動金利型
住宅ローンには、3つの金利タイプがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、それを十分に理解した上で、自分に合った金利タイプを選択しなければなりません。しかし、十分に理解しているとはいえない現実があるようです。
まず、『利用予定者編』をみてみると、金利タイプの希望を聞くと、図表1にあるように「固定期間選択型」が37.5%と最も多く、次いで「全期間固定金利型」が35.3%と僅差で続き、3番目の「変動金利型」が27.2%になっています。このうち、「固定期間選択型」については、比較的安全性の高い固定期間10年を希望する人が中心になっています。
つまり、予定段階では比較的安全性の高い「固定期間選択型」の固定期間10年や「全期間固定金利型」を利用したいと考えている人が合計7割を超えているわけです。
しかし、現実にどうかを、住宅ローンを利用してマイホームを取得した人たちが対象の『利用者編』からみると、「変動金利型」が50.4%と半数を超えており、「固定期間選択型」は36.9%に減少、「全期間固定金利型」は12.6%と1割強にとどまっているのです。希望と現実の間には、たいへん大きなギャップがあることがわかります。

販売業者のいいなりに動かされている?
なぜこんなことが起こっているのでしょうか。超低金利が長引いて、当面は金利が上がるリスクは小さい、だったら「変動金利型」でも全然問題はない――そう考える人が増えているのかもしれません。そう判断して、十分な対策を立てた上で「変動金利型」を選んでいるのであれば、それはそれでけっこうなことなのですが、実際にはそうとはいえないようです。